皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!
この記事は以下のことについて説明しています!
- Aラインとマンシェットで測定する血圧(NIBP)との違い
- Aライン採血の注意点
- Aラインの波形の見方
- 管理のポイント
さて、人によっては4月からICUや救命センターに異動してなんとか1ヶ月を過ごした方もいるのではないでしょうか・・。
Nパパも外科病棟から6年目の春にICUに異動して、それはそれは辛い日々でした・・笑
中でも「人工呼吸器」や「Aライン」は一般病棟でも見ることのない医療機器の1つです。
Aラインの管理やモニタリングは看護師も深く関わるものです。
しかし一般病棟や学生時代はAラインなんて見たことないし
普通の血圧と何が違うの?普通にマンシェットで測ればいいんじゃない?
と思った方もいるんじゃないでしょうか^^;
ですがAラインは患者さんの循環動態を評価する上で心強い存在です♪
ただその一方で注意すべき点や解釈の仕方を学ぶことも重要です。
ということで今日も一緒に勉強していきましょう!
他にも人工呼吸器や情報収集などのICU初心者の方のための解説をしています!
Aラインとは!?
Aラインの「A」とはArtery=動脈のAを意味します。
つまりA(動脈)に留置されているライン(管)のことです・
実際にはプラスチックの点滴の管(サーフロー針)が動脈に留置されている状態です。
これによって動脈圧をリアルタイムで測定することができます。
Aラインのメリット
Aラインを留置することでのメリットを簡単にお示しすると
- 血圧が常時リアルタイムで測定できる
- Aラインの波形(形)から循環動態を評価できる
- 新たに針を刺さずに動脈血採血ができる
大きくはこの3つだと思います。
まずは循環動態の評価の視点から解説していきます。
リアルタイムの血圧評価
通常、血圧と言えばマンシェットを巻いて上腕動脈の血圧を測定するのが一般的だと思います。言葉を言い換えると非侵襲的(観血)血圧(NIBP;Noninvasive Blood Pressure)と言います。
一方で、Aラインを用いた血圧は動脈血(観血的)血圧(ABP;Arterial Blood Pressure)と言います。
前述したようにAラインは動脈にカテーテルを留置していますから、24時間リアルタイムで動脈血の血圧をモニタリングできます。
このメリットとしては
- 循環動態の変動が著しい重症患者の循環評価ができる
- カテコラミン等の薬剤の反応を瞬時に評価できる
この2点です。
では臨床での活用方法について考えていきましょう!
臨床での考え方
【看護ケア中の血圧変動】
○全身清拭(体位変換)
全身清拭は毎日ルチンで実施している施設も多いのではないでしょうか。
全身清拭は酸素消費量の多い(酸素需給バランスへの影響!)ケアであると知られており、実は患者さんの負担も大きいケアの1つです。
さらに、体位変換を繰り返すため体位による血圧変動も多いです。
体位による血圧変動の根拠としては諸説ありますが、、
右側臥位:右側臥位では下大静脈が圧迫されることで静脈還流量が低減する
→特に肥満、循環血液量低下している患者で注意
左側臥位:左室が圧排されることにより心拍出量が低下する
ちょっと無理のあるような説明とも感じますが、この理屈で説明がされていることが多いです。
いずれにしても、臨床では実際に体位による血圧低下をしばしば経験します。
Aラインが留置されていることで、血圧が低下した際に早期に気付くことができます。
「清拭はルチンで実施しない」「ケア中にモニタをちらちら見ながら変化を観察する」
というこうとは大事ですね♪
清拭を実施するだけは正直練習すれば誰でもできます。この人に清拭していいの?心電図変化は?血圧はどう?などと考えながら実施することが大事ですね♪
薬剤投与と血圧
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)は重症患者ではよく使用する薬剤です。
ちなみにノルアドレナリンは末梢血管をキュッと(後負荷を増大)させて昇圧効果を得ます。
ここで注意したいのが、シリンジポンプでノルアドレナリン(以下長いのでNAとします)を交換する時の血圧低下です!
NAの昇圧効果は1〜2分程度で消失するので、薬剤を交換したときに血圧が低下することがあります。
Aラインが留置されていることで、血圧低下に早めに気付けます。
NAの他にも、投与することで循環に影響を及ぼす薬剤はたくさんあるので、Aラインはとっても大事なのです。
Aラインの波形には隠された情報がたくさんある!
みなさん疲れてませんか?!汗
最後の内容になりますが、Aラインの波形に注目してみましょう。
収縮期と拡張期は血圧の高さで分かると思います。当然、波形がの高さが高い(血圧が高い)のが収縮期に当たります。そして②を境に拡張期血圧に移行します。
さて、この②は何者でしょう??
正解は心臓の動きを考えれば分かります。
何かの参考書で、心臓の図(弁が分かるもの)を見てみてください。
心臓が血液を全身に送り出す時の通り道は、「左室」→「大動脈弁」→「(上行)大動脈」です。
つまり左室から全身に血液を送り出すには大動脈弁が開くことが条件になります。
そうです。
お気づきの方もいるかもしれませんが、拡張期に移行するに大動脈弁を閉じる必要があるんですね。
なので、②の部分は大動脈弁が閉じた瞬間の一時的な血圧上昇を見ていたのです。
よって、大動脈弁が閉じれば拡張期と判断することができるのです。
ちなみに②はディクロティックノッチと呼びます。
コレはIABPを学習する上でも重要なので、頭の片隅に入れておいてくださいネ^^
そのほかの情報
さて、番号がふってあるということは全てに意味があるということです。
順番に①からいきましょう。
結論から言うと、①の波形の立ち上がりの角度は心臓の収縮力を示しています。
当然、収縮性が低下している状態だと立ち上がりの角度がなだらか(極端に言うと平坦に近づいていく)になります。
また、この角度は心臓が収縮する際の抵抗にも影響を受けます。
つまり、心臓が上手に収縮できない状態の場合に角度がなだらかになるということです。
そしてその状態というのが、心収縮に対する抵抗が高まる状態、あるいは収縮性そのものが低下している状態ということなのです。
次に③です。
3はちょうど収縮期と拡張期を隔てるディクロティックノッチ(長いのでDNとします)から垂直に線を引いた時の面積を示しています。
これは1回拍出量(心臓が一回に拍出する血液の量:Storke Voleme;SV)を表します。
なので、この面積が広いほどSVが多く、面積が狭いほどSVが低下しているということになります。
そしてそして④は、、
体血管抵抗(Systemic Vascular Resistance;SVR)を表します。
体血管抵抗については、分かりづらいところもあるので後ほどお話しします。
連続波形も要チェック!
次に波形を連続させると何が分かるでしょう、、
2つの連続波形を示します。
その1
その2
違いが分かりますか??
数が違、、いやいやある意味正解ですが、、^^;
正解は「血圧が変動している」でした!
正解者に拍手!
上がって下がって上がって下がって、、と連続しています。
なぜ血圧が変動しているのでしょう??
実はこの変動って呼吸に合わせて変動しているんです。
そして、通常の呼吸ではなく人工呼吸器で陽圧呼吸(人工呼吸器はまた今度⭐︎)をしている状態です。
具体的には吸気時に低下しています。
これは結構大事なキーワードで、呼吸性変動と言います。
人工呼吸器の陽圧換気では、吸気(人工呼吸器からガスを送る)時に胸腔内圧は上昇します。
そしてこの陽圧換気下で呼吸性変動が見られるときは、循環血液量の低下が示唆されるんです。
この理由は、、
胸腔内圧が上昇することで静脈還流量(心臓に戻る血液量)が減るからです。
静脈還流量が減少すれば、当然心臓から拍出される血液量が低下します。
そうすると、吸気時に血圧が低下し呼気時に血圧がベースラインに向けて上昇する=つまり呼吸に合わせて血圧が低下することが起きるのです。
この反応は循環血液量が適正であればさほど血圧の変動には影響せず、循環血液量が減少した状態であると、血圧の変動が顕著に現れます。
よって、呼吸性変動を認めた場合=循環血液量低下が示唆されるわけです。
ちなみに、、
この呼吸性変動の変動率を数値化したものがSVV(Stroke Volume Variation)と言います。
そして心房細動(Arterial Fibrilation;AF)などの不整脈や、自発呼吸下であると信頼性はありませんのでご注意を!!
それにしてもAラインって奥が深いですねぇ、、
さて、Aライン波形から
- 心収縮性
- 1回拍出量(SV)
- 体血管抵抗(SVR)
- 呼吸性変動(循環血液量低下)
この4つが分かりましたね。
臨床での使い方・考え方
例えば、Aラインが留置され人工呼吸器を装着している患者さんの受け持ちだとします。
すると、、
ピコーンピコーンとアラームがなっています!(ICUに異動したては家でも聞こえるw)
モニタを見ると動脈圧が低下しているではないですか!
そこで、「アノ」知識を使うんです!
もう皆様はAラインの波形から、心収縮性・1回拍出量・体血管抵抗・呼吸性変動を評価できますね♪
まとめ
- Aラインは循環動態を評価する上で重要なアイテム
- 波形の形からは循環に関わる様々な情報がある
- 数値や波形の形だけではなく呼吸性変動も重要
- ケアや薬剤投与の際にもの血圧変動をリアルタイムで評価しよう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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