医療機器・薬

【ECMO】看護師が抑えておくべきECMOの大事な”3つ”のコンセプト

皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!

Nパパ

この記事はこのような人にオススメ!

  • ECMOに興味がある&知りたい人
  • ECMOデビューしたばかりの人
  • 一般のメディアでECMOを知った人

さぁ来ました。ECMOです。

これまでにECMOに関連した記事では腹臥位療法に関する内容を投稿しました。

ECMOについてはいつか書いたいなぁと思いつつ、書くかどうかを躊躇していましたが、ついに書くことに決めました!

ピコ様


ちょっと遅いぐらいよ!!

Nパパ

ごめんちょ・・・。笑

今回のECMOは複数の記事に分けてシリーズ化しようと多います。

構成は概ね以下の通り(予定)です。

  1. ECMOのコンセプト今日はココ!
  2. 酸素需給とECMOの回路構成
  3. ECMOの導入初期の注意点
  4. ECMO中のチェックポイント
  5. Awake ECMOとリハビリ

パッと書いてみたら5つになってしまいました笑

ということで今回は”肺を休める”という「ECMOのコンセプト」を解説していきたいと思いますが

先に結論をお示しするとECMOのポイントは3つです

  1. ECMOは肺の変わりをしてくれる医療機器
  2. ECMOは人工呼吸器にはできない肺を休ませることができる唯一の治療である
  3. ECMO中に大事なことは合併症を予防しつつ原疾患の治療を行うこと!

これについて詳しく説明いたします!

ECMOのコンセプトと言葉の定義

最近の報道を見ると

  • ECMO=コロナに有効
  • 腹臥位=コロナに有効

こんな短絡的な表現をされていることが多い印象を受けます。

一般の報道だとどうしても「=」の中に含まれる大事な要素を省略しています。

まずは言葉の意味と定義をしっかりと抑えておきましょう!

言葉の意味

ECMOというのは単語の頭文字をとってできた造語です。

ExtraCorporeal:体外

Membrane:膜

Oxygenation:酸素化

つまり膜型の人工肺を使って体外血液を酸素化するということです。

そもそもECMOとは広義では「ECLS」という言葉に含まれます。

ECLSというのはECはECMOと同じ単語で、LSは「Life Support=生命補助」という意味です。

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そしてECMOはさらに循環補助をするものと呼吸補助する方法があります。

循環補助のECMO

循環補助のECMOはいわゆるPCPS(経皮的心肺補助)のことです。

日本では以前からPCPSという形でECMOを実施してきました。

V-A ECMO(PCPS)は

静脈(Veno)から血液を抜き-動脈(Artery)に送ることで心臓がほとんど動かなくなった状態でも生命維持をすることのできる治療となります。(V-A ECMO)

特に心停止などで運ばれてVA-ECMO(PCPS)を蘇生目的で行った場合はECPRとも呼ばれます。

回路構成などは後に解説します!

英語がいっぱい出てくるのでまずは言葉を覚えましょう^^;

Nパパ

PCPSという呼び方はアジア圏だけで欧米ではVA-ECMOとしか呼ばないそうです。

呼吸補助のECMO

対する呼吸補助のECMOは静脈(Veno)から血液を抜き-静脈(Venous)に送ることで酸素化と換気を補助することができます。

なんで酸素化と換気が補助できるの?

といった声が聞こえそうなので簡単に解説します。

ECMOという言葉は

ExtraCorporeal:体外

Membrane:膜

Oxygenation:酸素化

でしたね?

VAもVVも体から血液を抜いたあとは膜型の人工肺を経由して体に戻ります。

みなさんの頭のなかではどんな「人工の肺」を想像していますか?

ピコ様


プルプルしてて・・心臓みたいにドクドク動いてるの・・?

中にはピコ様のように思った方もいるのではないでしょうか?

Nパパも初めて見るまでこんなことを想像していました。笑

メーカーによっても形は違うんですが実際にはこんな感じです。

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出典:MAQUET社 CARDIOHELP

赤い四角いのが人工肺です。

要するに人工透析の膜(ダイアライザー)と同じと考えてもらえれば良いと思います。

つまり場合は酸素化・二酸化炭素除去された血液を動脈に送るか静脈に送るかで目的が変わるということです。



ECMOのコンセプト

本記事では「呼吸を補助するV-V ECMO」に焦点を当てて解説します。

以下のECMOはRespiratory ECMO(呼吸ECMO)のことだと理解してください。

ECMO最大のコンセプトは肺を”休める”こと

ECMOの最大のメリットは重度に障害された肺を休めることができる点です。

ピコ様


ちょっと帰ろうかな・・。

Nパパ

ちょっと待って!!もう少しお付き合いください^^;

人工呼吸器というのは酸素化と換気をサポートする点ではECMOと同じです。

ただし人工呼吸器は外側から強制的にガスを送り込みます。

つまり胸腔内圧は陽圧になりますね。

生理的な呼吸は陰圧呼吸といって胸腔内圧が陰圧(吸引と同じ)になることで鼻や口から自然と外気が取り込まれます。

つまり生理的な呼吸と人工呼吸器の呼吸では真逆の方法になります。

【詳しくはコチラ】

人工呼吸器は肺に優しくない?

重度に障害された肺のサポートを人工呼吸器で行うと、設定としては酸素濃度も高くなり吸気圧やPEEPも高い設定をしないと酸素化や換気が維持できなくなります。

そうすると当然、風船(肺)に思いっきりガスを送れば風船が割れたり壊れてしまったりするリスクもあります。

これはVentilator Induced Lung Injury(VILI)と呼びます。

これにはいくつかの種類があります。

Barotrauma(高圧)過剰な圧が肺胞に加わることにより肺胞壁に穴が開く現象。
Volutrauma(高容量)過剰なガスが流入し肺胞が無理に進展することによる損傷。
Atelectrauma細気道の虚脱と再開通により肺胞上皮が擦れて損傷する現象(潰れてくっついたり再び膨らんだりする際の損傷)
BioTrauma上記の3つの損傷により炎症性サイトカイン(炎症を誘導する物質)が放出され肺水腫が増悪する。
Oxygen Toxity酸素による肺胞上皮への毒性。
VILIの分類

また高濃度酸素は酸素毒性と呼ばれるくらい有害です。

たとえば活性酸素種(フリーラジカル)によって肺が傷害されたり、肺が酸素で満たされることによって無気肺になったりします。

つまり肺にとっては優しくはないんです。

高濃度酸素と吸収性無気肺

高濃度酸素とは酸素の割合が多いということになります。

これは一見良いことのように聞こえますが、肺胞の中が酸素のみで満たされると当然血液と肺胞内の酸素分圧の較差は大きくなります(肺胞内の酸素分圧が高いのに対して血液の酸素分圧が低い)。拡散は分圧の較差が大きくなればなるほど拡散スピードは早くなり、肺胞から血液への移動(拡散)が促進されます。

こうすることで肺胞内の酸素が全て血流へ移動してしまい肺胞が虚脱してしまうことを意味します。

ECMO中のRest Lung=肺の休憩!?

人工呼吸器が肺に優しくない理由が分かりましたでしょうか?

Nパパ

ECMOは腎不全で行う血液透析と同じで肺の代わりをしてくれるんだね♪



ECMOでは人工肺を介して肺の役割である

  • 酸素化
  • 換気

この2つの役割を変わってくれます。

ECMO単独で人工呼吸器を使用しないケースもありますが、多くの患者さんは人工呼吸器を併用しています。

その際、ECMOが役割を果たしてくれるので人工呼吸器はRest Lung設定といって人工呼吸器によって肺がダメージを受けない=休ませられる設定が必要です。

設定についてはコンセンサスを得たものはないそうです。

とある本では

  • 1回換気量 < 予測体重×6ml/kg
  • 最高気道内圧 < 25cmH20

と表記されていました。

Nパパ

実臨床では1回換気量が100mlの場合もあります。

恐らく肺に負担を与えなければそこまで細かい調整は不要なんでしょうねぇ。



ECMO管理中で最も大事なことは原疾患の治療!

機能障害に陥った肺を休ませられるECMOですが、、

ここ重要ですよ!

”肺を直接カイゼンするための治療ではない

ということです。

ECMOをするとあたかも肺が良くなるというイメージを持ちかねない報道をみます。

しかしここまでの説明を見ればお分かりのように、ECMOは一次的な肺の代わりをしてくれるだけなのです。

たとえば重度のARDSでECMOを導入したとしましょう。

そうするとECMOで肺を休ませている間にARDSの原因となった原疾患を死ぬ気で治療するということが大事です。

具体的にはARDSの原因が肺炎であったら抗菌薬による治療をする。

あるいは敗血症や重症膵炎であっても同様です。

つまりECMOを行うことで、従来の人工呼吸器管理だけでは作ることのできなかった時間を作ることができるということです。

なのでその間に治療をして肺の状態を改善しないといけないのです。

そして看護師である我々も同じです。

ECMO中の廃用やVAPなどの合併症を予防してECMOを離脱後にスムーズに退院までのプロセスを作り上げることが大事です。

ARDSは初めからなるわけではない

ICUで働いていて「この人はARDS治療目的に自宅から入院しました」と聞いたことがある人はいないと思います。

ARDSは一見すると単独の呼吸器疾患であるように思いますが、実は二次的に生じる病態です。日本語名を見ると分かりますが呼吸促迫「症候群」となっています。つまり心不全のように何か原因の疾患が起こり、これに関連して生じるという病態の総称と言えます。これはセカンドアタックセオリーとも呼ばれていて炎症性サイトカインや自己免疫システムが深く関わっています。

まとめ

ECMOのコンセプトについてなんとなくでもご理解いただけましたでしょうか?

まとめのポイントとしては3つです。

  1. ECMOは肺の変わりをしてくれる医療機器
  2. ECMOは人工呼吸器にはできない肺を休ませることができる唯一の治療である
  3. ECMO中に大事なことは合併症を予防しつつ原疾患の治療を行うこと!

正直なところ物足りない!という声が聞こえてきそうです^^;

しかしECMO管理においてコンセプトを知ることは、実は一番重要でないかと思います。

次回のECMOシリーズは

  1. ECMOのコンセプト
  2. 酸素需給とECMOの回路構成次回はココ!
  3. ECMOの導入初期の注意点
  4. ECMO中のチェックポイント
  5. Awake ECMOとリハビリ

こちらについてお話していこうと思います!

Nパパ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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