皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!
この記事は以下のことについて説明しています!
- ECMO導入初期の観察ポイント
- 脱血不良のデメリットと観察方法
- 導入初期で脱血不良が起こりやすい理由
- 回路内の酸素化の確認方法
ECMO導入直後はアラームが鳴り止まなかったりバイタルが変動したりして不安に感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
意外なことにECMO管理について記載した看護系の雑誌や書籍を見ると、ガイドライン上の適応や病態については詳しく書いてありますが、導入直後のポイントをまとめたものは少ないように感じます。
Nパパ自身もECMO導入直後のアラームの理解や対処の仕方、なぜそのような現象が起こるのかが分からなくて不安に感じた経験があります・・・。
ということで今回はECMO導入直後の観察のポイントについて一緒に勉強していきましょう!!
- ECMOのコンセプト←済
- 酸素需給とECMOの回路構成←済
- ECMOの導入初期の注意点←今日はココ!
- ECMO中のチェックポイント
- Awake ECMOとリハビリ
本記事のコンセプト
今回は導入直後のトラブルを2つのケースを紹介しながら解説したいと思います。
コンセプトは事例で紹介した事象の原因や患者さんへの影響を考えつつ、対処法やチェックの仕方を学ぶということにしています。
なのでいつもより会話多めの形式でいきたいと思います!
なんだか研修みたいで楽しくなってきた!
【想定するケース】
- 可能性は低いけど起こったら超!緊急事態な状況
- 導入直後に高確率に起こる可能性があって理解がマストな状況
【Case 01】導入直後にSpO2がガクンと低下!からの徐脈・・
呼吸不全で入院後3日目の患者さんを受け持っているアナタ。
入院日に気管挿管をして腹臥位療法を実施しましたが酸素化が今一つ改善しない状況です。
朝のカンファで今日ECMO導入することが決まったから!
11時からカニュレーションするから看護師さんよろしくね!
ーーカニュレーション終了直後ーー
やったー!カニュレーションはトラブルなく終わったー!
先生が帰る前に指示出しをお願いしなきゃー♪
と思った瞬間!!
SpO2が60%に低下!みるみる心拍数が低下し徐脈に!!
ECMOトラブル発生!!すぐにサーキットチェックして!!
慣れない頃はもうドキドキな状況・・・というか慣れていてもちびりそうなレベルの事態です笑
ECMO流量は問題ないのになんでSpO2が下がるの?!
みなさんは何が起きたか予想がつきますか??
恐らく日常的にECMOを実施している施設ではこのようなことが起こるのは稀だと思います。(数年前に1度経験しているとかないとか・・)
では何が起きたかその後の状況を見てみましょう。
フロー(流量)はOK!刺入部と回路接続は問題なし!エアー混入もなし!回転数・FIO2・ガス流量の設定はOK!
先生!!ガスラインの接続が外れかけてます!!!
という結論でした。
恐らく予想できた人はいないんじゃないでしょうか?笑
そんなのねーだろ!という声が聞こえてきそうです^^;
それほど稀な状況です。
しかしながら医療安全に「絶対」というものはありません。
人が介入することに関しては特にそうです。
夜勤で朝7時の自分は信用してないわ笑
ガスラインなどの用語が分からない人もいると思うので詳しく解説していきます!
人工肺のガス(酸素)供給はチューブ1本で行われている

この図は以前の記事で載せたものですが(人以外はNパパ手作り!ニヤリ)
回路の全体像を示したものです。
この図の中で人工肺と書かれたものから出ている緑のラインがガス供給ラインです。
ECMOのシステムによって異なる可能性もありますが、Nパパが経験したシステムでは下の図のように人工肺に直接酸素のチューブを接続する方式になります。

今回の事例ではこの接続部分が外れかけていたということになります。
施設によっては接続部を結束バンドで固定している施設もあると思います。
回路や人工肺について知りたい方はこちらの記事を参照してください。
接続が外れると何が起こる??
ガスラインの接続が外れると人工肺への酸素供給がストップします。
つまり血液を体外に循環させるだけで酸素化や二酸化炭素の除去はできません。
ECMO導入時は人工呼吸器の酸素濃度を100%にする施設が多いと思います。
しかし元々ECMOが必要な重症な肺ですから、期待はできません。
特にARDSの場合は酸素化障害のパターンとして「シャント」と呼ばれる状態となっています。
これは換気のない肺胞の周りの毛細血管が、酸素を受け取らない状態になるため酸素濃度を上げても改善はしません。
なので生体の酸素供給は著しく低下します。
今回はSpO2が低下して低酸素からの徐脈に移行したと考えられます。
このまま放置すれば当然心停止になります。
肺が機能していない場合、ECMO停止から2〜3分で心停止に移行すると言われています。
ではSpO2が低下する前に気づく方法はあるのでしょうか??
酸素化のチェック方法
血液が酸素化しているかどうかは「回路の色」で判断します。
酸素化されていればフレッシュな赤色(Aラインの動脈血と同じ)をしています。
一方で酸素化されていない血液酸素化は採血の時の静脈血の色の状態です。
なので送血管(人工肺から出る血液)と脱血管(人工肺に入る血液)は必ず色調の差があるということを確認すれば酸素化されていないことに気づくことができます。

この図でも色を分けています♪
Case 02 導入直後に脱血不良?!
SpO2問題も解決し無事にECMOが回り始めました。
さっきは死ぬかと思ったぁ・・。でも色調も問題ないしフローも安定してる♪
ほどなくすると・・
”ピーピーピー”
いやー!
ちょっとフロー下がってるし、回路が震えてる〜*o*
皆様は何が起きたかお気づきですか?
そうです!「脱血不良」が起きたことが予測されます。
ECMO確立直後の脱血不良
まず脱血不良とは名前の通り「脱血管から血液を適切に吸引できない状態」を意味します。
脱血不良の原因としては以下のことなどが考えられます。
特に確立直後の脱血不良は循環血液量低下が深く関わっています。
- 循環血液量低下
- 脱血管の閉塞(折れ曲りなど)
- 循環血液量に対する回転数の超過
- 細すぎる脱血管
ECMO回路は生体にとって「異物」である
今回のケースはECMOが確立した直後に生じたということがポイントです。
でも回路の閉塞はないし、プライミングも問題なし、回転数も先生は適切って言っていたのになんで??
結論としては「血管透過性亢進による循環血液量低下」が考えられるよ!
ECMOの回路は人間の体にとっては異物と認識されます。
そうするとECMOの導入によって全身の血管透過性が亢進(血管の隙間が広がって血漿成分が漏れ出る状態)します。
これによって有効循環血液量が低下することで、脱血不良につながります。
ECMOは遠心ポンプが回転することで、血液が体内から引出されます。
一方で循環血液量が低下している状態でも常に血液を引き出そうとします。
これによって回路内に陰圧が生じて回路がブルブルと震えます(サッキングやチャッタリングなどと表現されます)
なのでECMO確立後は生体の反応によって脱血不良が起こりやすいと言われています。
脱血不良のデメリット
脱血不良は回路内が陰圧になることで溶血を引き起こします。
これらには以下のデメリットがあります。
- 炎症反応の惹起
- 電解質以上(高K血症)→高カリウム血症とGI療法の看護についてはコチラ
溶血とは赤血球が破壊されることを意味します。
赤血球の中にはヘモグロビンが含まれています。
溶血によってヘモグロビンが血中に放出されると「炎症を惹起する物質」として認識されてしまいます。
これは別名DAMPsと言われて細胞がダメージを受けると放出される成分の1つです!
集中治療は炎症との戦いでもあるので溶血は避けるべきですね♪
【赤血球は陰圧に弱い】
以前に高カリウム血症の記事にも書いたことがありますが、赤血球は陽圧には強くても陰圧には弱い性質があります。
具体的には陽圧は400mmHgまで耐えられますが-100mmHg以下の陰圧が生じると溶血のリスクが高まると言われています。
まとめ
- 血液の酸素化を確認するには色調の差をチェックする
- ECMO確立直後は血管透過性の亢進から脱血不良が起きやすい
- 脱血不良のサインは回路の振動
- 脱血不良は溶血から炎症を引き起こす
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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