皆様こんにちこんばんは!
本日のお話はBIPAP(バイパップ)の謎という題材ですw
この記事はこのような人にオススメ!
- 人工呼吸器についてもう一歩踏み込みたい人
- バイパップ=NPPVだと思っている人
- 3つのモードとBIPAPの違いがわからない人
以前の記事では人工呼吸器のまず覚えておくべき基本のモードとして以下を解説しました!
病院でも言われるんですがこの3つはわかるけどバイパップがわかりません!
ということをよく聞きます。
またバイパップ=NPPV(NIV)と認識している人もいます。
これについてはメーカーや機種の名前が紛らわしいのです・・・。
一体バイパップとはなんなのか?!そして3つのモードとの違いは何か今日も一緒に勉強していきましょう!
バイパップ=NPPVなのか?
まずはじめに言葉の混同についてお話ししていきます。
最近では少しづつこの誤解も減ってNPPVという言葉が定着してきたように思います。
NPPVというのは
Non invasive Positive Pressure Ventilation:非侵襲的人工換気
と言います。
非侵襲的というのは気管切開や気管挿管を必要とせずに、専用のマスクを使用することで換気を助けることができるという意味です。
- Invasive(インベイシブ):侵襲
- Ventilation(ベンチレイション):換気
日本語では人工呼吸器と呼ばれることが多いと思います。これは日本語では呼吸を意味する(Respirator:レスピ)という単語になります。
しかし一般的な英語表記の人工呼吸器というのはMechanical Ventilatorと表記されます。人工呼吸器は呼吸をさせるというよりは換気(Ventilation)を機械的(Mechanical)に担うものとして解釈されているものと考えられます。
なので本来は人工呼吸器ではなく機械的換気となりますが、人工呼吸器の方が分かりやすいので日本ではこのように表記していると思われます。
▼呼吸好きにオススメの記事
機種の名前が紛らわしい
なぜバイパップがNPPVと認知されているのかというと
NPPVが日本に導入された時によく使っていた機種が
フィリップス社の「BiPAP Vision」という機種だったからです。
また同社のフィリップス社では携帯用の人工呼吸器もBiPAPという言葉が使用されています。
ちなみにこの2つのBiPAPではiが小文字になっています(細か!!)
会社によって微妙な言葉を変えていることが大きな問題なのでしょう。。
では通常の人工呼吸器のモードである「BIPAP」について解説します。
BIPAPとCPAP
CPAPについては以前お話ししました。
もしCPAPについてわからない方は下記のリンクから以前の記事を読むことをお勧めします。
まずモードの紛らわしい英語を日本語に戻しましょう。
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure ):持続的気道陽圧
BIPAP(Biphasic Positive Airway Pressure):二相性気道陽圧
です。
どちらも気道陽圧という言葉は同じで頭についている言葉が
「持続的」か「二相性」の違いだけなのがわかります。
BIPAPを理解するにはCPAPが分かればOK
CPAPは簡単にいうと一定の圧をずーっとかけているモードです。
つまり人工呼吸器を離脱する前のモードと説明しました。
グラフィックを示すとこんな感じでしたね。
「持続的」というのは吸気時も呼気時どちらもという意味です。
さて、BIPAPの言葉にある「二相」というのは「吸気」と「呼気」の2つの相ということです。
あれ??
だとするとCPAPとおんなじじゃん!
こう思った方もいると思います。
BIPAPとCPAPの違いは
吸気時と呼気時にかける圧の強さが違うことです。
ただし吸気と呼気でかける圧はCPAPと一緒で一定です。
具体的には・・
例えば以下のように設定したとします。
吸気時の圧(PEEP):20cmH2O
吸気時の圧をかける時間:1.5秒
呼気時の圧(PEEP):5cmH20
換気回数:15回/分
グラフィックを見てみましょう。
こんなイメージです。
高い圧と低い圧を繰り返すことで、自然と呼吸が出来上がるわけです。
そして換気回数を15回/分と設定しているので
吸気20cmH2O・呼気5cmH2Oが1分間に15回入ることになります。
これだけです!
案外単純なんですね^^
普段愛用しているオススメ聴診器です^^
BIPAPのメリットはいつでも自由に呼吸できる?
これだけだったら他の設定でいいじゃん!
と思った方もいるでしょう。
BIPAPにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
答えは「弁の動き」に違いがあります。
人工呼吸器の構造についても①の基本編で解説しています!
人工呼吸器には「吸気弁」と「呼気弁」の2つの弁があります。
この弁の役割はそれぞれ
- 吸気弁:吸気時には弁を開放するが呼気時には弁を閉じる
- 呼気弁:吸気時には弁を閉じて呼気時には弁を解放する
つまり吸気と呼気がぶつからないようにするために存在します。
▼呼吸好きにオススメの記事
BIPAPでは吸気相でも自由に呼吸ができる?
BIPAPの利点としては、吸気相も呼気相のどちらでも自由に呼吸ができるということです。
もう意味がわかりませんよねw
簡単にいうと、高い圧をかけている(送気)時でも、患者さんが息を吐こうと思えば呼気弁を開いて息を吐ける仕組みになっています。
通常は吸気時には呼気弁が閉じてガスが逃げないようにできています。
しかしBIPAPでは高い相のPEEP(吸気相)の時でも呼気弁が開くように制御されています。
ちなみに低圧相(呼気相)にはPSを付加することもできます。
グラフィックを見るとわかりますが吸気相でも波形にゆらゆらと波ができています。
これは高い相でも患者さんが呼吸をしていることを意味しています。
これによるメリットは
患者さんが吸いたい時に吸って吐きたい時に吐けるので楽ということです。
人工呼吸器を体験したことがある人は分かるんですが
どちらかというと自由に息を吐けない方が辛いです。
なので呼気を阻害しないのはとてもメリットがあると言えます。
メーカーによる表記の違い
Nパパの施設ではドレーゲルというドイツのメーカーの人工呼吸器を使用しています。
ドレーゲルでいうBIPAPは他の機種やメーカーでは以下の表現になります。
- ドレーゲル:BIPAP
- Hamilton:DuoPAP
- COVIDIEN:Bi-Level
- MAQUET:BI-Vent
なんかイラッとするわね笑
どこのメーカーもBi(2つ)ということを強調しているのは伝わりますね^^;
ドレーゲルにおける分類
実はこんな感じで分類されます。
※V300など新たな機種ではモードの名前が変更となっています
ちなみにドレーゲルではPS(プレッシャーサポート)はASBと表記されます。
結局のところ、人工呼吸器のモーはA/C・SIMV・CPAPが基本のモードになるというわけです^^
BIPAPをちょこっと変えるとAPRVになる
最近ではあまり見かけませんがBIPAPの吸気・呼気時間を変更するとAPRVになります。
APRVというのはARDSなどの重度の呼吸不全で常に肺胞を開くためのモードです。
どういうことか簡単に説明すると
ほとんど吸気相で一瞬呼気相にするということです。
つまり息を吐く時間を極限まで短くするモードなのです。
こうしてみると呼気が一瞬なのがわかります。
これは肺胞を開くことを優先して低換気によるPaCO2の上昇は許容するという考え方です。(リクルートメント)
最近では1回換気量を減らすことが優先されるのでAPRVが使用されることが減っている印象があります。
豆知識として覚えといてください♪
【Permissive Hypercapnia】
ARDSの人工呼吸器管理では過大な換気によって肺を傷つけてしまうVILI/VALIを予防する肺保護戦略が重要だと言われています。
これには1回換気量を低く抑えることなどが言われていますが、これは一方で換気量を減らすことでPaCO2が上昇し呼吸性アシドーシスを引き起こすことにも繋がります。
肺保護戦略ではこれよりも肺を保護することを優先しているのでpH:7.2までは許容するとされています。
- Permissive(パーミッシブ):許容
- Hypercapnia(ハイパーカプニア):高二酸化炭素血症
人工呼吸器など私が今まで買ってよかった書籍など一覧のリンクは以下に貼っておきます!
▼リンク
まとめ
BIPAPの謎について解説しました!
実際のところ人工呼吸器管理で重要なのは
- モードよりも細かな設定の方が重要
- 非同調の有無をモニタリング
この2つです。
モードに囚われることなく患者さんが安楽なのかということを評価することが看護師として重要だと思います。
つまり人工呼吸器と同時に鎮静や鎮痛も含めて評価することが大事なのです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事が参考になった方は是非シェアしてください♪
SNSのフォローもお願いします。
[…] […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]
[…] BIPAPの正体 […]