ICUの知識

実践者が解説!看護師特定行為研修の実際と思うこと

本日は「看護師特定行為研修」のお話です。

実際に「病院から研修に出てくれと言われた」「ステップアップのために特定行為研修の受講に興味がある」なんて方も多いのではないでしょうか。

ただ実際に踏み込むには実際の実践情報が少なくて受講に踏み込めない!という方もいると思います。

ということで本日は2022年に特定行為研修を修了し現在ICUで特定行為を実践している私が解説いたします!

Nパパ

この記事はこのような人にオススメ!

  • 病院から特定行為研修の受講を勧められた人
  • 特定行為研修に興味がある方
  • 特定行為の情報収集をしたい方

クリティカルケア認定看護師の私が解説します!

看護師特定行為研修とは?

まずは本家本元の厚生労働省のサイトではどのように紹介されているのでしょう?

特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為です。

厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html).2023年2月2日閲覧

このように紹介されています。

さらに特定行為研修については看護協会のサイトでも紹介されています。

「特定行為に係る看護師の研修制度」は、保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度で、2015年10月から開始されています。
手順書により特定行為を行う場合は、本研修の受講が必要となります。
研修を修了した看護師には、患者さんの状態を見極め、タイムリーな対応をすることなどが期待されています。

看護協会(https://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/portal/about/).2023年2月2日閲覧

とまぁこんな感じです。

まとめると看護師特定行為・看護師特定行為研修制度とは以下となります。

  • 診療の補助に位置付けられ行為は38行為に位置付けられる
  • 看護師特定行為を手順書に基づき実践する場合は研修の受講が必要
Nパパ

つまり看護師特定行為とは特別な資格ではないということが分かります。

解釈が非常に難しいと思うのが「手順書により特定行為を行う場合」と書いてあるので、医師からの直接指示があれば動脈穿刺も実践して良いのか、、など色々と思うことはあります。

本記事では純粋に特定行為研修を修了した後のお話をしていきます。

特定行為の実際とメリット

Nパパ

私は主に人工呼吸器関連の行為を修了しています!

最も実践頻度の高い行為はいかになります。

  • 人工呼吸器の設定変更
  • 人工呼吸器からの離脱
  • 鎮静薬の調整
  • たまに輸液調整

主にはICUなどのクリティカルケア部門で実践していますが一般病棟に出向いて実践することもあります。

そんな私が感じる特定行為の最大のメリットはこちらです。

最大のメリットは「タイムリーな実践」

例えばこんなことってありませんか?

Aさん78歳男性、下部消化管穿孔により緊急で開腹術を行った。血圧が低く不安定であり、気管挿管・人工呼吸器管理の状態でICUに入室した。入室後3時間経過して頃から、人工呼吸器のアラームが頻繁に鳴っており、患者さんも辛そうな状態であった。医師に報告するが、当直体制で既に次の手術に入っておりICUに来て対応が出来ない状態である。呼吸器の設定は明らかに換気量不足で呼吸努力が強く、頻呼吸であった。当該の医師は人工呼吸器の経験がそこまで多くないとのことだった。

*事例は筆者の考えた架空の事例です。

こんな時にもしあなたに人工呼吸器の知識があったらこんな場面に遭遇した時に何を考えますか?

これは私も感じていたことですが自分だったら「自分で調整できたらなー。」と思います。

Nパパ

こんな時に特定行為なら医師を待たずに手順書を元に設定変更を行い患者さんの苦痛を緩和できる可能性があります!

まさに「タイムリー」なケアを患者さんに提供することができます。

私自身はこれが最大のメリットだと実感しています。

実際に特定行為を行う時はどのような方法で実践してるの?

さて、先ほどの事例で自分がどのようなプロセスで特定行為を実践しているかについて説明していきます。

Nパパ

病院のシステムによって大きく異なると思いますし、自分の方法が正しいかどうかは分かりませんのであくまでも1例として見てください!

先ほどの状況であれば手順書を元にすぐに実践!といきたいところですが、、

私は医師にまず連絡をして以下を説明します。

  • 患者に起こっている問題点を電話でプレゼンする(この場面で言えば非同調)
  • 特定行為について念の為説明する
  • 特定看護師の自分が調整して良いかについて確認する

これって直接指示じゃないの?

と思った方もいると思いますが自分自身は初回の介入に関してはこのような方法をとっています。

その理由については以下に説明していきます。

特定行為は医師との信頼関係と方針の一致が大事

特定行為を実践する上で重要なのは医師との関係性だと感じています。

特定行為は呼吸器設定や鎮静の調整、輸液の変更などやろうと思えばたくさんの介入ができます。

しかし一方でこれは「治療」をしているわけではありません。

医師の治療方針の中で一部分のケアを実践しているに過ぎません。

と私は思っています。

Nパパ

特定行為の説明については「間違った認識」をしている場合もあるので必ず簡単にでも説明するようにしています!

ケースによっては治療方針を確認して最終的にどのような方針であるかを確認します。

例えば長期の人工呼吸器患者の離脱では、離脱までに時間もかかるので最終的に退院を目指すのか、転院などかについても自分は把握したりします。

あくまで自分は医療チームとしてケアを提供しているというスタンスなので、このようなプロセスで実践しています。

Nパパ

人工呼吸器や鎮静などに関する記事が見たい方はコチラを参照してください!

実際の調整と代行入力

さて実際に特定行為を行うことになりました。

自分は病歴から既往歴、アレルギー、薬歴も確認し患者さんの背景を理解します。

そして手順書の対象であることを確認します。

*手順書ってなんだ?という方は厚生労働省が見本を出しているので確認してみてください。

そして現在の検査所見や人工呼吸器の設定やパラメータ、身体所見、予測体重(身長から算出)、鎮静の状況を評価して問題の原因を検討し解決方法を考えます。

Nパパ

実際に設定変更!そして必ず受け持ち看護師とディスカッションして設定変更の項目や理由、変更後にどのような状態になったら連絡をもらうか説明します(自分の中では結構大事にしてます)

変更の内容にもよりますが、評価を行うために検査(血液ガス分析など)が必要であれば代行入力を行います。

実際の一連の流れはこんな感じです!

Nパパ

その後特定行為の記録にアセスメントを書きますが、医師に直接連絡することもあります!

研修機関が色々あるけど研修ってどんな感じ?

ここからは研修の実際について説明します。

研修機関は全国にありますが厚生労働省のサイトによると東京・神奈川・大阪などの大都市が多いようです。

研修機関としては病院が圧倒的に多いみたいですね。

厚生労働省のサイトから筆者がグラフ(N=272)を作成 (https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000747412.pdf).2023年2月3日閲覧.
Nパパ

私はとある協会の研修機関と病院が運営している研修機関の2か所で研修を行いました!

私が受講した研修機関は講義についてはどちらも「オンデマンドの動画視聴」でした。

*対面の授業がある機関もありました。

あとは研修期間を通してスクーリングがあってグループワークやテスト、実技の練習などを行います。

Aラインの留置やPICC留置など手技を伴うものに関しては施設自体に練習設備があるところもあれば、研修ラボに赴いて練習するなど機関によって異なるポイントだと思います。

自分が特定行為研修中と後に購入して使っていた書籍を紹介します!

■PICC

■呼吸器

■輸液

■栄養

実際に特定行為を実践している中で思うこと

自分自身は特定行為のスタンスは患者を中心に患者にとってメリットがあると判断したことに注力しています。

なので医師からあれやってーこれやってーなど単なるタスクシフトとして実践はしていません。

どのような組織でどのような仕組みで実践するかによってスタンスは大きく変わると多いますが、ただのタスクシフトとして実施するのは少し寂しいような気がします。

今患者さんに問題が起きていて解決するまで時間を要してモヤモヤした経験がある人は研修を受講しても良いと思います^^

ただ一方で研修中の学習だけで特定行為が実践できるとも思いません。

それなりに継続的な学習を自発的にしていくこと+特定行為としても経験を積むことが大事だと思います。

でも自分は特定行為研修を受講してよかったなと思っています!!

特定行為によって患者さんの問題が解決した時はとても嬉しいです^^

以上になりまーす!

Nパパ

最後までお読みいただきありがとうございました!!大変なこともあると思いますが程々に頑張りましょー^^

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■Nパパ(かんごし父ちゃん)@nurse_daddy ■集中治療室ICU ■認定看護師 ■ブロガー ■看護師・看護学生のための情報を発信しています!

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