皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!
この記事では以下のことを説明しています!
- SIMV(エスアイエムブイ)の概要
- PS(プレッシャーサポート)について
- A/Cとの違い
- 人工呼吸器の学習方法
人工呼吸器ってモードがたくさんあるし英語と略語が多くて嫌い!!!!
こう思う方は多いのではないでしょうか??
実際人工呼吸器の勉強を始めたばかりの方にとってハードルを上げてしまう要因が煩雑な用語だと思います。
人工呼吸器については他にも解説しています♪
まず覚えるべき3つのモード
どこから勉強したら良いかわからない!という方はまず3つのモードを勉強することをオススメします!!
【まず覚えるべき3つのモード】
- SIMV(エスアイエムブイ)
- A/C(アシストコントロール)
- PSV(プレッシャーサポート)=CPAP・SPONT
メーカによってたくさんのモードの名前がありますが、基本はこの3つです。
そこから派生していくようなイメージになります。
この3つのモードを覚えればOKね☆
では早速いきましょう!!
SIMVの意味
SIMVの単語の意味は
Sは同期する(Synchronized)
Iは間欠的に(Intermittent)
MVは強制換気する(Mechanical Ventilation)
ということです。
言葉では分かりづらいと思うので、次の図をみてください。
自発呼吸がない人にSIMVを使用するとどうなるか
例えば心臓外科の開胸術直後の患者さんにSIMVで人工呼吸器を開始しました。
まだ覚醒はなく自発呼吸もない状態と仮定しましょう。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml】
自発呼吸がない場合は設定の換気回数によって呼吸の周期が決まります。
今回は1分間に15回なので
60分÷15回=4
→4秒に1回、500mlの決められた機械換気が送られる
このようになります。
なので自発呼吸がない場合はA/Cと何ら変わらないんです。
「S」を省くとただの強制換気になる
なぜかというと、SIMVのSを省くと!
IMV:間欠的強制換気
間欠的に強制換気(決められた換気量(圧)・換気回数・吸気時間)を送るという機能が働くからです。
では自発呼吸が出た場合にA/Cとどう変わるのでしょう?
自発呼吸が出た場合はどうなるか?
さて、心臓外科の患者さんが覚醒して自発呼吸が出てきました・・・
設定は先ほどと変わらず、下記の設定です。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml】
変わったのは患者さんの自発呼吸が18回/分になったことです。
このような形です。
紫の波形と緑色の波形に分けましたがご察知の通り紫はSIMVで規程された強制換気の部分(1回換気量:500ml)です。
緑色の部分は自発呼吸です。
SIMVの特徴は設定した換気回数(この場合15回/分)は決められた機械換気でそれ以外は患者さんは自由に呼吸してください!というのが大きな特徴です♪
A/Cの場合は患者さんが吸っても全部が機械換気だったよね!!
先ほどの続きを考えてみましょう。
実際の呼吸回数は18回/分・設定の換気回数が15回/分だとします。
そうすると換気回数を上回った3回分は紛れもない患者さん自身の呼吸になります。
なので換気量はバラバラになります。
A/Cで自発呼吸が出ると??
改めてA/CとSIMVの波形の違いを見てみましょう。
A/Cの場合の波形を下に表します。
どちらも設定や自発呼吸の回数は同じにしましょう。
【モード:A/C 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml 自発呼吸18/分】
A/Cの場合は自発呼吸全てに機械換気が入ります。
SIMVでは・・
波形で見ると違いが分かると思います。
分時換気量を計算すると違いがわかりやすい
分時換気量(1回換気量×換気回数)を計算してみましょう!
- A/C:自発呼吸18回/分×1回換気量500ml=9000ml=9L/min
- SIMV(自発呼吸の1回換気量を300mlと仮定):15回×500ml + 3回×300ml=8400ml=8.4L/min
になります。
つまりSIMVは換気回数を上回った部分の自発呼吸には何もサポートが入らないってことです。
完全に覚醒して自発呼吸がしっかりしている人はA/Cって辛いわね・・
トリガーウィンドウとは?
ちなみにSIMVの場合はトリガーウィンドウという概念があります。
トリガーウィンドウとは設定の換気回数は保障するけど、できる限り患者さんが吸ったタイミングで機械換気を送りまっせ!ということです。
トリガーウィンドウは設定の換気回数によって決まります。
そしてそのウィンドウ内で患者さんの吸気努力が検知されれば、そのタイミングで吸気を送る仕組みになっています。
一方でウィンドウ外の自発呼吸に関しては、特にサポートは入ることはありません。
図で見たいわ!!
と言うと思って用意しました笑
【SIMV】
【A/C】
A/CとSIMVを比較すると全ての自発呼吸に対して機械換気が入るか否かで判別がつくと思います。
SIMVはPS(プレッシャーサポート)もつけられる!
奥さんお得です!!笑 SIMVにはPSもつけられます笑
どういうことかを説明していきます!笑
まず図をみましょう。
緑色が自発呼吸だからこれにPSのサポートが入るってこと??
その通り!!自発呼吸が不十分な患者さんにとっては楽に呼吸ができますね♪
設定としてはこんな感じです。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml PS:5(cmH2O)】
つまり緑色(設定の換気回数:15回以外の呼吸に)5cmH2Oのサポートが入ると言う理解になります。
離脱はどうしていくの?
離脱の方法としては以下の2通りあります。
- ウィニング
- SBT(自発呼吸トライアル)
これはSIMVに限らず同じです。
簡単に言うと
- サポート(換気回数)を減らしていくウィニング法
- バツっとCPAPにするSBT
になります。
SIMVの場合はウィニング法をとる医師が多い印象があります。
ウィニング法の実例
心臓外科の術後患者さんで考えていきましょう!
【症例】
狭心症(3枝病変)にてCABGで手術を行った。
人工心肺を離脱し未覚醒のままICUへ入室した。
ICU入室時刻:17:30
まずは自発呼吸は出ないのでこんな設定とします。
【モード:SIMV 換気回数(f):15回/分 1回換気量:500ml PS:5(cmH2O)】
自発呼吸は出ないので換気回数は1分間に15回となります。
次第に覚醒して自発呼吸がしっかりと出てきました。
酸素化と換気は良いので医師は翌朝まで抜管したいと思ったとします。
【モード:SIMV 換気回数(f):5回/分 1回換気量:500ml PS:5(cmH2O)】
変更時刻:22:00
自発呼吸が出てきたので換気回数を減らしました。
自発呼吸を優位にしていくけど、最低7回は機械換気があると安心。。といった気持ちでしょうか。
さらに朝方来てみると・・
自発呼吸の1回換気量がしっかりしていたので
【モード:CPAP PEEP:5(cmH2O) PS:5(cmH2O)】
変更時刻:6:00
日勤の最初で抜管じゃーーー!!汗
ウィニングは結局どういうこと?
結局のところ
徐々にサポートを減らすのがウィニングで一定の状態までになったらバスっとCPAPにしちゃうのがSBTです!
最近ではSBTの方が抜管までの時間が早いとも言われています♪
人工呼吸器に興味がある方は以下の書籍もオススメしてます!!
https://nurse-daddy.com/%e3%80%90%e6%9b%b8%e7%b1%8d%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%80%91%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%99%e3%82%81%ef%bc%81%e4%ba%ba%e5%b7%a5%e5%91%bc%e5%90%b8%e5%99%a8%e3%81%8c%e6%a5%bd%e3%81%97%e3%81%8f/以上参考になれば嬉しいです!
医療関係以外にも生活を豊にするアイテムなどの記事を書いているので良かったら見てください^^
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[…] SIMVをはじめから丁寧に […]
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