皆様こんにちこんばんは!現役ICU/認定看護師のNパパです!
さて今回のお話は「血圧に頼らない」循環のアセスメントでございます。
この記事はこのような人にオススメ!
- 循環のフィジカルが苦手な方
- ICU1〜2年目の方
- 血圧の正体が分からない方
看護師の代表的なお仕事の1つに血圧測定があります。
看護学生の時には、縦長の水銀計を使ってテストを受けたもんです。
そんな血圧ですが、、
普段当たり前のように測定してますけど「何のために測っているか?」「血圧って何なの?」と患者さんに聞かれたら答えられますか?
「・・・・。えっとぉ・・・。循環を・・・。」
となる方が多いのではないでしょうか。
今日はそんな「血圧の正体」を紐解いて循環のアセスメントを深めて行きましょう!
この記事を読むことで
- 血圧に頼らずく様々な視点で循環アセスメントができます
- 急変の認識が早くなります
この知識はICUだけではなくどこでも使える知識です!
そういえば血圧って何者?
さて、血圧の異常の1つである高血圧があります。
患者さんの血圧を測った時に
「大丈夫?高血圧っていくつから?」
と聞かれた経験ってありませんか?
日本高血圧学会のガイドライン(2019)によると高血圧の診断は
140/90mmhg以上
とされています。
緊急高血圧も重要なのですが、
どちらかといえば臨床でドキドキするのは、血圧が下がることですよね。
”何が起こった?急変?ショック?”
と、コチラの血圧は急上昇!w(臨床では笑えない)
結論からいいますと、、
血圧は計算式で表せます!
その計算式を見ると何が原因で血圧が低下しているのかが考えることができます。
計算式!と聞くとドキドキしてしまうアナタ。
大丈夫です。計算するわけではありません!
血圧 = 心臓が拍出した量 × 末梢血管抵抗
スライドにも示していますが、それぞれ○で囲んだ部分の影響を受けます。
例えば動脈硬化で高血圧になっている方というのは
動脈の弾性が低下(血管が硬くなる)することで末梢血管抵抗が上昇します。
なので血圧が上昇するという理解になります。
つまり血圧が低下した時は「どこが原因で血圧が低下したか」
ということをアセスメントすることで原因が推論できるんです。
先ほど示したスライドの言葉を置き換えると、、
血圧 = 心臓が拍出した量 × 末梢血管抵抗
血圧 = 心拍出量(CO) × 体血管抵抗(SVR)
になります。
循環の構成要素
先ほどの血圧の式を使ってさらに深めていきましょう。
さて、血圧一族の家系図(循環の構成要素)を出しました!
まずは体血管抵抗(SVR)から見て行きましょう。
これはあまり馴染みがないかと思います。
しかし、みなさん!
臨床でこんな会話を聞いたことがないでしょうか?
しゅに〜ん!〇〇さんのSpO2の値がでないんです。
きっと末梢締まってるんだね。
さぁ、この2人のナースの名前はさておいて、、
(年代が分かってしまいますねw)
これが体血管抵抗(SVR)の正体です。
末梢が締まっているということは、末梢の血管が収縮している(血管抵抗が上昇)ことを意味します。
血圧 = 心拍出量(CO) × 体血管抵抗(SVR)
例えば、虫垂炎で入院していた患者さんが急性心筋梗塞を発症したとします。
そうすると心筋梗塞によって心臓のポンプ機能(心機能)が低下します。
当然、心機能が低下すれば心臓から拍出する血液量は減少しますよね。
つまりこのケースの場合は、心拍出量(以下COとします)が低下することで血圧が下がるという考え方になります。
一方で血圧が低下したままだとどうなるでしょう?
血圧の低下(特に平均血圧;Mean BP)は大事な臓器への血流に低下につながります。
平均血圧=脈圧(sBP-dBP)÷3
組織還流で重要なのは収縮器血圧ではなく平均血圧だと言われています。一般的には臓器血流を保つためには65mmHg以上が必要と言われています。
そうすると各臓器への酸素供給ができなくなります。
これは「ショック」の状態と言えます。
ショックの定義とは?
単なる血圧の低下ではなく臓器への血流が低下することで
臓器障害が起こり生命の危機に至る状態
となります。
つまりショックというのは何らかの理由によって組織の酸素化ができていない状態と言えます。
人間のバックアップ機能(代償反応)
人間の体はとても優秀なので、ピンチになった時に「もうダメ!!」とは簡単にいかないものです。
そうです。
バックアップ機能が働くわけです!
その反応のことを代償反応といいます。
先ほどの心筋梗塞のケースに戻りましょう。
血圧【→】 = 心拍出量(CO)【↓】 × 体血管抵抗(SVR)【↑】
COが低下すると血圧が低下していくわけですが
この場合上の式で考えると、末梢血管抵抗が上昇すれば血圧は上昇しますよね?
つまり、末梢血管抵抗を上昇(末梢血管を収縮=末梢を締める)させることで血圧を保とうとしているのです。
当然、末梢血管が収縮すれば血流が低下しているので手足など末梢に触れると冷たくなっているはずです。
これが末梢冷感です。
ショックを推論するためにも重要な所見ですね^^
- 顔面蒼白(Pallor)
- 虚脱(Prostration)
- 冷汗(Perspiration)
- 呼吸不全(Pulmonary insufficiency)
- 脈拍触知不能(Pulseless)
血圧低下を見たときは手足に触れることが重要なんですね。
ちなみに冷汗(触るとじとっとした汗)ですが、これは交感神経が賦活化することで生じる発汗作用です。
末梢の血流が低下しているので何とも言えないじっととした冷たい汗になります。
循環の評価は血圧だけではなく「触診」が非常に重要なんですね。
先ほどの心筋梗塞のケースであれば
血圧低下+末梢冷感+冷汗が出ていれば・・・
そうです「心原性ショック」を疑う必要があります。
これは医師に報告する際にも重要な視点です。
先生、血圧が低下してるんですけどどうしましょう?!
と報告するのと
尾崎主任「先生、血圧低下に加えて末梢冷汗と冷汗が出ています!」
この2つの報告を聞いた医師の気持ちとしては、尾崎主任の報告の方が緊急度・重症度が伝わるため
先に対応しよう!と思うでしょう。
また、感染症の既往や疑いがあって、発熱、血圧が低い状態であったため手足に触れてみた!
だけども末梢は暖かい・・これって大丈夫ってこと?
という場合もあります。
これは逆に血液分布異常性ショックである「敗血症」を視野に入れる必要があります。
敗血症の初期はウォームショックと呼ばれ、末梢血管が開いた状態となります。
臨床では、常に死亡率の高い敗血症に注意を払う必要がありますね♪
血圧の落とし穴
集中治療室ではバイタルサインが常時モニタリングされ、温度版(フローチャート)には連続したバイタルサインが記録されています。
例えばこのような経過の患者さんがいるとします。
一番上の緑のライン(収縮期血圧)を見てみましょう。
おおよそsBP=120〜140mmhgの範囲で経過しています。
この時点では誰も循環が悪いという印象は受けません。
しかしこの後の経過を見てみましょう。
8、9のあたりから急激に収縮期血圧が低下しているではありませんか!!
臨床でもこのようなことはよく見受けられます。
血圧以外にも目を向けましょう。
まずは、赤いラインのHR(心拍数)です。
最も最初に変化しているのはHRです。
3あたりから上昇しているのが分かります。
そうです。血圧が下がる前というのは心拍数で代償することがあります。
なぜかというと、、
COは1分間の拍出量なので、心拍数と1回の拍出量(以下SV;Storke volume)の積となりますよね。
つまり、心拍数をあげれば理論上SVが下がっている状態でもCOが上昇します。
そしてCOが上がれば血圧が上昇します。
そうです!これも代償反応ですね♪
例えば術後の患者さんで考えるとどうでしょう。
術直後というのは
- 術侵襲により血管透過性が亢進(血管の隙間が広がって間質に血漿成分が漏れ出る)
- 抗利尿ホルモンの分泌
などの要因により循環血液量が減少(正確にいうと血管内の有効な循環血液量が減少)します。
循環血液量が減少するとCOは減少するので、HR で代償します。
この時点で細胞外液やアルブミンなどのコロイドを投与して循環血液量を増やさなければ、上記のチャートの様に次第に血圧が低下します。
また、一番下の黒いラインである呼吸数にも注目しましょう。
著しく上昇はしていませんが、呼吸数も血圧低下よりも早期に上昇しているのが分かりますね。
急変の予兆としての呼吸数が重要なのは昨今言われていることです。
この呼吸数についてはまた別に特集を組みましょう!
この表は出血性ショックの重症度分類にも用いられますが、赤い□で囲まれている部分に注目しましょう。
循環血液量が30%喪失しても、血圧は正常を保っています(コワ!!)
しかし心拍数と呼吸数は鋭敏に反応していることが分かります。
このように代償反応というのは、体がピンチになった際に重要な臓器を保護して、生体の恒常性を維持しようとする反応でもあります。
つまりこの反応を「患者の声なき声」として耳を傾けられるかは、この知識があるかどうかで決まります!!
まとめ
- 循環のアセスメントは血圧だけではない!
- 血圧だけに頼らずフィジカルを駆使するぞ!
- 体の代償反応=患者の声として耳を傾けよう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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