腹部のフィジカルについて研修を受けた経験ありますか?
フィジカルアセスメントは所属する施設内の研修や看護学校で学んだという方も多いと思います。
しかしながら、意外に腹部の観察方法に関する教育を受ける機会は少ないと感じます。
研修でも伝えていますが腹部の観察は「腹膜炎」などの重症な病態を鑑別する上では非常に重要な知識・技術です。
でも今さら聞きづらい・・・。
という方もいると思いますので改めて一緒に学習していきましょう!
下腹部が張っているかどうかは”臍”を見よ!
腹部の視診はその名の通りお腹を眺める技術です。
重要な点は
- 膨隆の有無
- 手術痕の有無
これを確認することです。
膨隆は限局したものであれば腫瘍などが疑われますが、臨床で新たな腫瘍を発見した!という機会はほとんどないでしょう。
膨隆では下腹部か上腹部かという視点が重要です。
尿道カテーテルから濃い血尿が出ている患者さんのケースで考えてみましょう。
昨日は1200ml/day出ていた尿が今日は100ml/dayになっていた。
そこで看護師が考えるのは
コアグラ(血液が凝固した塊)によってカテーテルが閉塞したということ。
腎機能が正常であれば採尿バックへの道を断たれた尿は膀胱に溜まっているはずです。
それを裏付けるには膀胱が拡張しているのをエコーで確認するのが最も早いです。
しかしエコーをサラッと操れる強者は一般的ではありません。
そこで腹部の視診をして考えるというわけです。
膀胱は下腹部に位置しています。
ただ意外に下腹部が張っているかどうかは分かりづらいものです。
そこで注目したいのは”臍の向き”です。
一般的に尿閉(骨盤内の占拠性病変)による腹部膨満では臍は頭側を向きます。
(Acute urinary retention. Inter Med,50,2255.)
下腹部が張っているか分かりづらい時は”臍”を見ましょう!
消化器症状=手術痕の有無を見よ!
次に手術痕です。
これは外科で術後に創部を見るということではなくて
周術期に関係がない患者さんで腹部の症状,あるいは消化器症状を訴えていた場合に
腹部の手術痕を見るということです。
なぜならば
腹部に手術痕があれば癒着性イレウスの可能性を示唆するからです。
腸閉塞とイレウスの違い
腸閉塞とイレウスの違いってご存知ですか??
急性腹症診療ガイドラインでも示されているようにイレウスは術後や腹膜炎による腸管麻痺を意味します。
一方で腸閉鎖(obstruction)は機械的・機能的な腸管の通過障害を示します。
つまりこのように定義されます
- 捻転や腫瘍による腸管の通過障害をきたしていれば腸閉塞
- 消化器系の術後に腸が動いていない状態をイレウス
日本では言葉の定義が曖昧でしたが先ほど紹介したガイドラインで言葉の定義が言及されました。
まとめ
視診だけでも奥が深いのね♪
- 手術痕の有無を見る
- 腹部の膨満は臍の向きを見る
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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