皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!
本記事ではSpO2の意味や解釈の仕方、臨床での考え方について解説します!
SpO2ってヘモグロビンと酸素がくっついている割合でしょ??
正解!!
SpO2は経皮的酸素飽和度のことで、酸素化の指標としてとても重要だね^^
でも臨床では測定したものをどう解釈するかが大事なんです!
ということで昨今話題のSpO2と臨床での考え方について現役の認定看護師が解説いたします!
人工呼吸器やフィジカルアセスメントについて学びたい人は下記リンクを参照してください♪
看護師がSpO2を学ぶことのメリットは限界を知ることだった?!
そもそもの話なんだけど、今さらSpO2について勉強してなんのメリットがあるの??
それは意外かもしれない2つのメリットがあるよ!
- SpO2の限界点を知ることができる=身体所見と組み合わせて状態変化を評価できる
- PaO2(酸素分圧)を予測できる=病態の変化を早期に察知できる
*下記の書籍は過去の記事で紹介した超絶オススメ書籍です!
SpO2はただの数値。限界はそこにある。
例えばこの2つの数値をみてどう思いますか?
【Case1 68歳男性】
■SpO2:88%(室内気)
ん〜〜〜。。何かのひっかけかしら。。
【Case2 78歳女性】
■SpO2:93%(室内気)
こんな情報だけじゃ判断できるわけないでしょうが!!怒
良いところに気がついたね!!それが正解だよ^^
・・・。
先生わたし帰りまーす。
ちょっと待って!!!!要するにSpO2を考える上で重要なのは以下の2つだよ♪
- 数値のトレンド(経過)を把握する
- 身体所見や背景を合わせて考える
数値は全て絶対値ではなくトレンド(経過)を重要視する!
例えば先ほどの2つの事例で考えてみよう。
SpO2:88%とSpO2:93%のケースね??
SpO2:93%のケースの場合数値をトレンドで見るとどうなるでしょうか?
これを見ると一目瞭然ですね♪
下がり傾向ってことは今後どんどん低下するかも・・・泣
これは報告も同じで今までは98%あったのが93%に低下していたら捉え方は変わります。
バイタルサインをはじめとする「数値」はトレンドが重要です。
「基準値よりも低いが上昇傾向なのか」
「基準値であるが低下傾向なのか」
数値を傾向で捉えることでより「生きた情報」になります。
報告を受けた医師の気落ちとしても、上記のように報告されるだけで緊急度などが変わります。
測定した数値を重要な情報にできるかどうかは解釈の仕方や表現の仕方で変わってくるのです。
身体所見(フィジカル)との組み合わせ技を常に考えるべし!
次にSpO2:88%の方が呼吸しているのを観察してみよう!
あれれ??呼吸回数は18回/分で、口をすぼめて呼吸してるけど苦しくはなさそう。
そうそう。そうなると緊急性は低いことが考えられるね。多分COPDの患者さんなんでしょう。
にしてもSpO2:93%の人の呼吸はなんだか苦しそう・・。
そうだね。呼吸に合わせて胸鎖乳突筋は怒張して呼吸回数が20回/分を超えている。これは急変兆候と捉えて良いね。
このようにSpO2と身体所見はセットで考えるべきです。
SpO2低下に加えて補助呼吸筋の使用や頻呼吸は急変兆候としてとても重要な初見です。
【補助呼吸筋】
- 胸鎖乳突筋
- 僧帽筋
- 斜角筋
通常の吸気筋はほとんどが横隔膜を使用していますが、急変などによって酸素需要が高まると通常の呼吸筋では追いつかず上記のような首回りの筋肉を使用して換気量を増やそうとします。
さらに補助呼吸筋を使用することで肩で呼吸するような努力呼吸になるのです。
SpO2には限界があるが知識1つで考え方の幅が広がる!
このように数値だけは限界があるのでトレンドや身体所見を学ぶことが重要なのです^^
ところでSpO2から酸素分圧(PaO2)を予測できるって本当??
本当です!!これを知るとさらに呼吸に関する評価が深くなります!
酸素解離曲線を学ぶと酸素分圧(PaO2)を予測できる!
酸素解離曲線とは縦軸に酸素飽和度(SaO2)、横軸に酸素分圧(PaO2)で表したものです。
つまりSaO2とPaO2の関係性が分かるのね♪
平常時のPaO2とSaO2の関係性を数値にしたものを下記に表します。
SaO2(%) | PaO2(%) |
97 | 91 |
96 | 82 |
95 | 76 |
94 | 71 |
93 | 67 |
92 | 64 |
91 | 61 |
90 | 59 |
89 | 57 |
87 | 53 |
85 | 50 |
赤字にしているところは大事なポイントです!
呼吸療法認定士の勉強している先輩がPaO2:60torr以下が呼吸不全の定義って言ってた気がするわ・・。
そうそう。だから室内気でSpO2:90%以下が危険ということが分かるよね。
SpO2:100%はPaO2低下に気が付けない
では上の数値をグラフにしてみよう!
SaO2:95%辺りから下がり幅が大きくなるのね・・。恐
だからこそバイタルサインのコール基準ではSpO2<95%となることが多いんだ。
じゃあ酸素してSaO2:100%あれば問題ないわね♪
実はそうではないんだ。グラフを見ると分かるんだけど、SpO2が100%に到達するとそのあとはPaO2が上がってもSpO2は100%のままなんだよね。
ってことは、病態が変化してPaO2が低下しても気が付けないってこと!?
健常な人であれば室内気を吸入していれば、PaO2はほぼ100mmHgに近い値になります。
一方で酸素投与や人工呼吸器下では大気(酸素濃度21%)よりも濃い濃度の酸素を吸入しているためPaO2は100mHgを超えます。
しかしこれは同時にSpO2が100%の状態では、酸素吸入下ではPaO2が低下している状態、すなわち病態の悪化をSpO2で評価することはできません。
だからこそ不要な酸素は減量や中止するとともに、身体所見を合わせて評価することが重要なのです。
*これらのことはICUに異動したら読むべき書籍に書かれています!
一歩進みたい方はP50を覚えよう!
P50(ピー・フィフティー)とはSaO2が50%の時のPaO2を表します(通常は27mmHg)。
見る人は少ないと思いますが、測定器で測定される項目の1つなので興味のある方は見てください♪
なんで有りもしないPaO2をわざわざ見る必要があるの??
これは数値を見て酸素化を評価するというよりは酸素解離曲線が右方偏移しているのか左方偏移しているのかを評価するための指標なのです!
【酸素解離曲線の左右偏移とは?】
酸素解離曲線はある状態になるとグラフが通常よりも左右に偏移することがあります。
つまり同じPaO2でも生体の状態によってSaO2が高くなったり低くなったりするのです。
飽和度とはヘモグロビンとの結びつきを意味するので、例えば右方偏移でSaO2が低くなるというのはヘモグロビンから酸素分子が離れやすい(酸素を放出しやすい状態)ということになります。
Sa02:90%=PaO2:60mmHgだったのが右方偏移するとPaO2:60mmHgでもSaO2が90%を下回ることになるのね・・。
ICUでは右方偏移の方が多いのでこちらを理解することが重要です。
- 右方偏移:体温上昇、血液pH低下(アシデミア)、二酸化炭素上昇など(代謝亢進)
- P50>27mmHgであれば右方偏移と判断する
これは代謝が生体の亢進している状態で末梢組織に効率よく酸素を届けるための反応でもあります!
なんか呼吸に興味が出てきたわ・・。
呼吸療法認定士受けようかしら笑
ICUではこのように患者さんの状態を考えながら必要なケアを考えて提供します!
一般病棟を5年以上経験してICUに異動したので、あなたも遅くはないです^^
【ICUへの異動は看護師人生で財産になる】
ICUは病態を評価しながら適切なケアを提供して重症化の回避やリハビリテーションなどの回復支援まで行うとてもやりがいのある分野です。
ずっとICUにいる必要はないと思いますが、短期間でも多くの学びを得ることができます^^
もし少しでも興味があったり転職を考えていたらICUのある施設への転職を視野に入れると良いですね♪
もし東京都内であれば下記のサイトで転職の相談ができます!
呼吸に興味がある方はこちらの資格がオススメ!
呼吸療法認定士ってどんな資格?3年目が終わったら挑戦したい!
呼吸療法認定士は
- 特定非営利活動法人日本胸部外科学会
- 一般社団法人日本呼吸器学会
- 公益社団法人日本麻酔科学会
この3学会が合同で呼吸療法の質向上を目的に創設した学会資格です♪
この資格を取得して呼吸サポートチーム(RST)で院内の呼吸管理に携わるのもとても良い経験になります^^
自分も認定取る前にチームに入って活動していた経験がとても生きています!
呼吸療法認定士は看護師だけでなく臨床工学技士や理学療法士など多くの医療職種が資格を取得することができます。
学会資格ではありますが呼吸は看護師としてどこでも使える知識なので、臨床で必ず生きる内容です。
目標がなくてだらだらしてしまう。。という方にもモチベーションを上げる目的で資格取得を目指すのもオススメです^^
近くに資格保有者がいなくてどうして良いかわからない方は書籍や教材を使ってまずは勉強するのも1つです。資格を取らなくても勉強するだけでレベルアップにつながります♪
最近ではeラーニングや過去問で資格取得のための学習ができるツールがあります♪eラーニングだと交代勤務でもマイペースに学習することができます!(下記リンク参照)
めっちゃ便利!!急いでチェックします!!
まとめ
- SpO2は酸素化が評価できる便利な指標だが数値には限界がある
- SpO2はスポットの数値ではなくトレンド(経過)を重要視する
- SpO2に加えて身体所見もわせて評価することが重要
以上参考になれば嬉しいです^^
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