皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!
今日は用手換気のお話です。
この記事はこのような人にオススメ!
- ICU経験が3年目未満の人
- ジャクソンリースとBVMの違いが分からない人
- 用手換気の方法が分からない人
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ICUに異動したての頃、SPO2低下に対して慣れてる看護師がサラッとBVMで換気を始めた様子を見て「すげぇなぁー」ってなったのを覚えています。
急変だけでなく、気管挿管の際にも必要不可欠な用手換気。
急変に遭遇して用手換気ができなくて悔しい思いをした方もいるんじゃないでしょうか?
あるある・・。言われても頭側に行けなくて悔しい思いをしたわ・・・。
気管挿管では挿管手技に難渋した場合、患者さんの呼吸予備力が低い状態では用手換気が上手くいかないと、生命維持はできません。
そう。低酸素は心停止の原因として非常に重要な要素です!
時々挿管もマスク換気もできない状態:CVCI(cannot ventilate and cannot intubation)も言葉としては覚えておいてよいですね♪
ということで今回は、急変対応には必須のマスク換気に関するお話をしていきたいと思います!
今回の記事を読むことで
- BVM(バッグバルブマスク)とジャクソンリースの違いが分かります
- 用手換気の方法が分かります
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では行きましょう!
BVMとジャクソンリースの違い
ご存知の方も多いとは思いますが、まずは基礎的な内容からお話します。
まず両者の決定的な違いは「酸素供給源がなくても使用できるかどうか」ということです。
他の違いについては下の表に示します。
ざっくりとこのような違いがあります。
BVMは何もしなくても膨らんでいる状態であるのに対して、ジャクソンリースは酸素を流さないとぺっちゃんこの状態です。
なので、ジャクソンリースを使用する時は酸素供給源があるということが前提となります。
コンプライアンス(硬さ)の分かりやすさというのは、バッグを押して患者にガスを送気する際に感じる抵抗です。
例えば間質性肺炎などによって肺のコンプライアンスが低下している状態というのは、イメージ的には硬い風船に空気を入れるように、空気を送るのに対して肺が膨らむのに圧力を必要とします。
送気した時に抵抗を感じるというのは感覚としてコンプラインスが悪いのかなぁと感覚的に情報を得ることができます。
これがジャクソンリースの場合はダイレクトに感じるということです。
PEEPについては、持続的な圧力を加えて肺が虚脱(萎まないように)するのを防ぐことができます。
これはジャクソンリースの特権ですね♪
特に重症肺炎の患者さんなど、ガス交換障害(特に拡散障害)が顕著な患者さんの酸素化を維持するにはPEEPが必要です。
なので、搬送中にPEEPをかけられるのはメリットになります。
このような違いがあるのには構造にヒントがあります。
構造の違い
BVMとジャクソンリース の構造の違いを理解すると違いがより理解できます♪
【BVMの構造】
まずは吸気・呼気時のBVMの構造を図示します。
吸気時はバッグを押すことでバッグ内に溜まった酸素(リザーバーを接続しなければ空気:FIO2 21%)が患者側に送気されます。
BVMはそれぞれ一方弁が2つ付いている構造となっています。吸気時は患者から遠い方の弁が閉じて、患者に近い側の弁が解放されます。
そうすることで患者にガスが送気されます。
注意点としては、酸素を接続してリザーバーに酸素を溜めておかないと、高濃度の酸素が投与できません。
つまり酸素濃度としては大気の21%となります。
また、酸素を接続していても、患者の吸気流速が早すぎる場合や酸素流量が足りない場合はリザーバーが膨らみません。
そうすると、足りない分は大気で補うので、結果的に患者に投与される酸素濃度は低下します。
リザーバーのチェックは重要ですね♪
さて、次は呼気時です。
患者にガスを入れた分、その分を吐く必要があります。その時は患者に近い側の弁が閉じていることで呼気ポートから呼気が抜けるような仕組みになっています。
そして、次の吸気に向けてバッグが自立して膨らみます。
その際は、患者から遠い方の弁が開くことで酸素・あるいは空気がバッグ内に充填されます。
このようにBVMは複雑な仕組みになっているので、その分価格は高価になります。
【ジャクソンリースの構造】
BVMとは違って構造がシンプルです。
図のように、酸素を接続して酸素を流してもマスク側からリークするので、バッグは膨らみません。
なので、膨らませるには気管チューブに接続するか、吐出口を塞ぐ必要があります。
そうすると、バッグが膨らみ患者に送気することができます。
当然、バッグ内に貯留したガスは100%酸素なので、高濃度の酸素投与をすることができます。
しかし、患者が吐く時はどうでしょう?
患者から最も遠い場所に、調節口があります。
これは、どの程度隙間を開けるかという開閉度を調節することで、患者の呼気を逃す量を調節することができます。
逆に言えば、気管チューブに接続して調節口を開けないとすると、、、、
呼気が逃げる場所がなくなります。
これは相当やばいということがお分かりかと思います。
なので、BVMと比べて扱いには慣れが必要になります。
またPEEPをかけるには常にバッグを押している必要があります。
PEEPをかけながら換気するときは呼気の際に、バッグを少し押した状態まで戻すことで常に軽く押している=つまりPEEPをかける状態が維持することができます。
使い分け
基本的にBVMは非人工気道(挿管や気管切開をされていない)の患者で使用します。(人工気道で使えないわけではない)
例えば患者さんが急変した際に挿管前の前酸素化(Pre Oxygenation)を行うために使用することもあります。
また心肺停止時はナースが胸骨圧迫とともに換気する際に用手換気を必要とします。
恐らくBLS(一次救命処置)やALS(二次救命処置)の研修ではBVMを使用することが多いのではないでしょうか。
一方ジャクソンリースは人工気道を有する患者さんに使用することが多いです。
すなわち人工呼吸器患者さんに使用することが多いでしょう。
非人工気道の患者さんでも使用できないこともありますが、手技には慣れが必要なので一般病棟などの救急カートにはBVMが準備されていることが多いでしょう。
ジャクソンリースの特徴としては自発呼吸が分かりやすいため、自発呼吸に合わせて換気補助ができるという利点があります。
自発呼吸がしっかりしていれば、画像検査などへの搬送はジャクソンリースが選択されることが多いでしょう。
しかし、換気量を多くしてしまうと肺の圧損傷が起こりかねません。
ジャクソンリースにマノメーターという圧力計が付いているものもあります。
この場合は気道内圧が上昇しないよう回路内圧をモニタリングしながら換気量を調整することができて安全ですね♪
マスクフィッティングの方法
用手換気で重要なのはマスクフィッティングの手技です。
まずは頭部の位置を調整(頭部後屈あご先挙上)し気道を確保します。
マスクフィッティングは1人法の場合、換気とマスクフィッテイングを1人で行う必要があります。
その場合利き手でバッグを押して換気、もう一方の手でマスクフィッティングと気道確保を行う必要があります。
マスクを持つてに注目すると、アルファベットで「E」と「C」の形になっています。
これはEC法と呼ばれる方法です。
- Eの指(3本の指)で下顎をロック
- Cの指(2本の指)でマスクをフィット
マスク換気を行う人は頭側に位置するため、胸郭の挙上を確認しながら行う必要があります。
ちなみに送気は過剰に行うと、胃の拡張から嘔吐を誘発する可能性があります。
なので一般的に送気は1秒間とすることが多いです。
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まとめ
- BVMとジャクソンリースは構造上の違いから様々な違いがある
- 一般的に人工気道か非人工気道で使い分ける(どちらも両者で使用できます)
- マスクフィッティングはEC法がとても大事
基本的な内容でしたが、用手換気の基本やBVM・ジャクソンリースの違いについて説明いたしました。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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