フィジカルアセスメント

【急変対応】意識障害への対応 4 STEP

皆様こんにちこんばんは!現役ICU・認定看護師のNパパです!

今回は「意識障害」に関するお話しです。

Nパパ

この記事はこのような人にオススメ!

  • ICU経験が3年目未満の人
  • 一般病棟の人
  • 急変対応に強くなりたい人
  • 意識障害に対して主体的に対応したい人

皆様は意識が悪くなってる!という患者さんに遭遇した経験はありますか?

突然意識が悪くなって医師に連絡してCTに付き添ったという経験をした方も多いんじゃないでしょうか?

看護師が意識障害に遭遇した時って意外にできることは少ないと思いがちです。

ですが看護師にもできることはたくさんあります。

結論からいうと意識障害に遭遇した時は4つのSTEPに応じて行動します

  1. ABCの確認
  2. 意識を客観的に評価する
  3. バイタルサイン評価
  4. 身体所見+血糖測定

ということで今回は臨床で意識障害に遭遇した時の行動 3 STEPをお届けします。

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今回の記事を読むことで

  • 意識障害に対する推論ができるようになります
  • 意識障害の患者さんへの対応が分かります

では早速行きましょう!

意識障害と失神

意識の構成

意識というのは「覚醒」と「認識」で構成されています。

それぞれ

  • 覚醒(意識の維持機能):脳幹網様体および視床下部
  • 認識(意識の調節機能):大脳皮質

これによってコントロールされています。

意識障害はこのどちらかあるいは両者に異常がある状態です。

低活動型せん妄は覚醒も認識も障害されています。

なのでせん妄は意識障害と言えるのです。

一方で失神はどうでしょう?

失神(Syncope;シンコピー)とは「一過性の意識消失発作」と定義されます。

つまり意識が通常の状態に戻らなければ失神とは定義されません。

例えば覚醒は戻ったけど名前が言えない状態は改善しないという状況は、覚醒は元に戻っていますが認識が改善していません。

よって意識障害と判断されます。

ちなみに失神の16%は心血管性が原因と言われています。

具体的には大動脈解離や不整脈(洞不全症候群や房室ブロックなど)、肺塞栓症などが挙げられます。

臨床ではこれらのワードが混在しやすいので、是非この機会に抑えておきましょう♪

突然の意識障害!あなたは何をする?

今回の主題であるこのテーマから議論していきましょう。

【とある臨床場面】

新人朝倉

あれ、、〇〇さんの意識がなんかおかしい!!

「〇〇先生ですか?〇〇さんの意識が低下しています。バイタルは正常、瞳孔も左右差ありません!CTに行く準備をしておきます!」

主任 尾崎

あ〜さ〜く〜ら〜!!!

朝倉、その患者さん呼吸とか大丈夫なの?まさか、患者さん置いてCTの準備してたの?!

このような臨床場面に遭遇した経験がある方はいるのではないでしょうか?

朝倉さんの対応は正解です。

むしろ新人でここまでできたら100点あげちゃいますw

ただ尾崎主任はいつものごとく朝倉にプンプンしてます。

この患者さんのケースの場合バイタルサインは正常ですが、通常意識がない場合にまず疑うべきは「心停止」の状態です。

01 まずはABCの評価(心停止の除外)

心停止が疑われる状況では5つのSTEPに合わせて行動することが大事です。

心停止が疑われる状況の5STEP
  • 反応の確認
  • 応援要請(救急システム起動)
  • 呼吸の確認(死戦期呼吸であればなしと判断)
  • 脈拍の確認(頸動脈の触知)
  • 胸骨圧迫開始

 基本的にはこの5STEPで心停止を確認して早期に対応する必要があります。

これはご存知の方が多いでしょう。

どのような急変でもまずはA(気道)B(呼吸)C(循環)=生理学的所見を評価することは救急医療の鉄則です。

【用手換気に関する記事はコチラ】

https://nurse-daddy.com/%e3%80%90%e6%80%a5%e5%a4%89%e5%af%be%e5%bf%9c%e3%80%91%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%82%af%e3%82%bd%e3%83%b3%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%a8bvm%ef%bc%88%e3%83%90%e3%83%83%e3%82%b0%e3%83%90%e3%83%ab/

しかし、臨床では心停止よりも朝倉さんのような心停止ではないけど意識が悪いというケースの方が遭遇することが多いと思います。

そうした場合はどうすれば良いのか朝倉さんの遭遇したケースで考えていきましょう。

02 意識障害識の客観的評価

患者さんのABCを確認したとします。

目の前にいる患者さんが「心停止ではない」ということが分かりました。

朝倉さんの報告では「意識が悪いです!」という表現でしたよね?

しかしどうでしょう?医師としては、『意識障害の程度』を把握することはできません。

意識障害で重要なことは医療者間で客観的な意識の状態を共有することです。

客観的な評価のためには、皆様もご存知の通りスケールを使用する必要があります。

メジャーなスケールだとJCS(ジャパンコーマスケール)GCS(グラスゴーコーマスケール)の2択です。

【JCS】

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【GCS】

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詳細は様々なサイトで解説されていると思うので、そちらを参照してください。

こうすることで意識障害の程度と重症度・緊急度が明確になります。

また、普段との状態との違いという点も重要です。

患者さんが急変した時に感じる「何か変」って、「いつもと比べてなんか違う」と感じるケースが多いんではないかと思います。

ここに関しては、日頃患者さんと最もコミュニケーションをとっている看護師が良く気づける点だと思っています。

意識障害の原因は?

意識障害の原因は様々で、頭蓋内疾患だけではなく様々な視点から推論する必要があります。

意識障害の鑑別(原因を挙げること)するための有名なツールとしてAIUEO TIPS(アイウエオ チップス)があります。

【AIUEO TIPS】

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英語とかよく分からない図が出ると、もういや!!という声が聞こえてきそうですが(笑)、安心してください。

そんな深くは取り扱いません。w

赤い枠で囲んでいる部分に注目してみてください。

看護師でもチェックできそうな項目が多いことが分かります。

がしかし、Nパパが伝えたいのは意識障害の原因は頭蓋内疾患だけではない!ということです。

つまり意識障害の原因を考える上では一次性(頭蓋内)なのか二次性(頭蓋内以外)なのかを考えなければなりません。

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“意識障害の原因を多角的に推論”

 たとえば背景にショックや低酸素があれば心停止に移行する可能性もあります。 

高齢者の意識障害の原因として頭蓋内疾患よりも感染症(敗血症)や代謝異常の方が多いといった報告*1もあるくらいです。

なので意識障害の原因はたくさんあって、むしろ頭蓋内疾患以外の可能性を考慮して行動すると覚えて下さい。

あとお伝えしておきたいことが1つ。

看護師が意識障害の原因を診断する必要はありません。

それは医師の仕事です。

しかし、看護師が意識障害の原因を知っておくことで臨床上のメリットがあります。

それは多くの情報を集められる!ということです。

これはとても重要なことです。

まずは意識障害(異常)に気づいて医師に報告する!ことが最も重要なのは間違いありません。

なんですが、医師が到着するまでの間に多くの情報(所見)を集めて、それを報告するだけでも医師の診断の助けになります。

そして、その行為が結果的に患者さんのためになります。

考え方にもよると思いますがNパパは多くの情報を集めろ!と後輩に伝えています。

03 バイタルサインは超重要

次にベッドサイドですべきことはバイタルサインのチェックです。

これについては朝倉さんGOOD JOBでしたね。

しかし測定結果を評価することも重要です。

バイタルサインだけでは断定できませんが、大まかに収縮期血圧を見ることで意識障害の原因が頭蓋内疾患であるか否かを予想することができます。

頭蓋内疾患の場合、血圧は上昇する傾向があります。具体的には収縮期血圧が160mmHg以上の場合に頭蓋内疾患の確率が高まる*2と言われています。

↓分かる人だけで良いです。スルーしてOKです!

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逆に低い場合は?

血圧が低い場合は、TIPSにある通り、ショックをはじめとする二次性の意識障害を疑う必要があります。

特に感染症を有するあるいは疑いの患者には注意が必要です。

入院患者の中には重症疾患により免疫能が低下している場合や、すでに肺炎や尿路感染などの感染症を発症している患者がいるからです。

04 血糖測定と身体所見

ここまできたら瞳孔所見や運動麻痺などの所見を評価していくことが必要です。

なぜならば左右差が見られれば頭蓋内疾患が疑われるからです。

注意すべき点としては、意識障害+運動麻痺ときたら頭蓋内疾患を第一に考えます。

がしかし大動脈解離や低血糖によっても左右差を生じることがあります。

ガイドラインにも書いてありますが、下肢麻痺(対麻痺)に関しては大動脈解離の4%に生じると言われています。

【対麻痺と片麻痺】

頭蓋内疾患の場合、足(両足)だけの麻痺って見たことあるでしょうか?

恐らくないと思います。頭蓋内疾患で運動麻痺を生じるメカニズムは運動の神経繊維の出発点か通り道の問題です。そして、脳から出発した運動神経繊維は左右反対に伝達されるので、片麻痺になります。

【対麻痺とは?】

対麻痺は脊髄の問題になります。

大動脈解離で対麻痺が生じる理由は、脊髄を栄養する比較的太い動脈であるアダムキービッツ(Adamskievics Artery)が閉塞(胸椎レベル)することにより脊髄(前側=前根;運動神経)が虚血となるため下肢の運動障害が生じます。

さらに解離の範囲によっては頸動脈(心臓と脳の中間に位置する)まで及んだ場合、結果として広範囲の脳梗塞を合併することもあります。

思い込みではなく、常に広い視点で推論することが必要です。

もう1つ付け加えると、同じくTIPSの中にある血糖の異常があります。

血液検査を病棟で測定することはできませんが、血糖に関しては簡易血糖だったら測定できますよね?

低血糖を除外するためにも血糖測定をしておくことが重要です。

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血糖値による症状

ちなみに低血糖による意識障害の場合、糖を付加して症状が改善しなければ低血糖による症状とは断定できません。

さてさて、色々とお話ししましたが意識障害に遭遇した時に看護師にできることは結構あるんです。

医師が来たときにここまで情報を提供できたら、「コイツできる・・・」と思われます。多分。w

欲をいうと、基礎疾患や病歴なども情報も合わせて報告できるとよりBESTです。

なぜなら診断のプロセスにおいて、検査前確率という概念があるからです。いかに検査前確率をあげて、身体所見や検査所見をもとにルールアウト・ルールインしていくことが大事だからです。(わからなくて良いです)

看護師は何となく感覚でこのようなことを考えていると思います。

まとめ

【意識障害に遭遇した時の行動 4 STEP】

  1. ABCの確認
  2. 意識を客観的に評価する
  3. バイタルサイン評価
  4. 身体所見+血糖測定
Nパパ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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【引用】

1:BMJ.2002 Oct 12;325(7368):800.

2:Am J Emerg. Med 14:649-653

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