みなさまこんにちは!
呼吸音の分類って研修や授業で習ってもさらっと終わってしまい実はちゃんと教えてもらった経験がある人は少ないのではないでしょうか。
特に異常音については聞こえた音をどのような表現で記録すれば良いか分からず、前の人の記録や先輩の表現を参考にしているのは看護師あるあるですね^^;
認定看護師をしている私でもICUに来たときはそんな感じでした!笑
しかし勉強をしていると時に「異常音の分類表」を知って、もっと早く知りたかった!!と思いました。
本記事では以下の人に向けて解説していきます!
この記事はこのような人にオススメ!
- 肺複雑音(異常音)の分類の仕方が知りたい方
- フィジカルアセスメントを学びたい方
- 複雑音が生じる原因を知りたい方
- 呼吸音のアセスメントを深めたい方
クリティカルケア認定看護師の私が解説します!
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まずは聴診器の使い方を正しく覚えよう!
みなさんは聴診器をどのように持っていますか?
正しく呼吸音を聴取するためには聴診器の構造と正しい使い方を理解することが大事です。
あまりよく分からない!という方は以下の記事を参照してください。
・今さら聞けない聴診器の正しい使い方を3分で解説!ベル面と膜面の使い分け
異常音の覚え方と分類の仕方
結論から述べますと、本日のメインテーマですが異常音の覚え方と分類の仕方はこの表を覚えれば問題ないです!
臨床で頻度の高い複雑音にフォーカスして学習していきましょう!
複雑音の分類手順
複雑音が鳴ってる!と認識した場合は次の手順で分類していきます。
- 連続性(途切れない音)か断続性(途切れる音)かを分類
- 連続性であれば音が高いか低いか
- 断続であれば音が細かい音か粗い音か(音のタイミングで吸気の終わりか、そうでないかでも良いです)
連続性の複雑音
連続性とは「ヒュー」「グー」など途切れない連続している音という意味です。
連続性の複雑音は以下の2つになります。
- 笛声音 / Wheeze(てきせいおん/ウィーズ)
- いびき音 or 類鼾音 / Ronchi(るいかんおん/ロンカイ)
一般的に連続性の複雑音は気道が狭窄している状態だと考えられます。
Wheezeは細い末梢の気道が狭窄している状態で、Ronchiは主気管支など太い気道が狭窄している状態であると考えられます。
Wheezeが聴取されるのはどんな時?
ではWheezeが聴取されたらどんなことが考えられるのか見ていきましょう!
Wheezeは喘息や心不全などの病態で聴取されることがあります。
それはなぜか解説します。
喘息は気道に炎症をきたすことで、気道が閉塞します。これによってWheezeが聴取されることになります。
心不全ではどうでしょう?
心不全はうっ血によって末梢気道に浮腫を生じるため、Wheezeが聴取されることになります。
どちらも病態の進行によって狭窄の程度が進行するため、Wheezeの増強=病態の進行と考えて良いです。
Wheezeは「呼気時」に聴取されます!思いっきり息を吐いてもらうと聴取されることもあります。
喘息におけるWheezeの分類で「Jónsson分類 」というのもあります。
分類 | Wheezeの程度 |
Grade0 | wheezesなし |
Grade1 | 強制呼気時でのみ聴取 |
Grade2 | 平静呼気で聴取 |
Grade3 | 平静呼吸で吸・呼気聴取 |
Grade4 | 呼吸音減弱、 silent chest |
Ronchiが聴取されるのはどんな時?
Ronchiは比較的太い気道で聴取されます。
特に看護ケアで重要なのは「吸引」の判断です。
看護師が吸引できるのは気管分岐部までです(それより奥に突っ込むと片肺吸引になっちゃうので、、)
気管が2手に分かれる気管分岐部は胸骨角(胸骨を触ると盛り上がっている部分)の位置と同じだと言われています。
つまりその気管分岐部(胸骨角)の周囲でronchiが聴取されれば主気管支に痰がへばりついている可能性があるので、咳で出せない患者さんには吸引することを考慮すると良いでしょう。
断続性の複雑音
次に断続的な複雑音を見ていきましょう!
断続的な音とは「ぶつぶつ」「パリパリ」などの途切れる音を意味します。
水泡音はどんな時に聴取される?
水泡音は気道に水分が貯留し呼吸による空気の出入りで「水泡が弾ける」際に生じる音です。
水泡音は呼気・吸気どちらも聴取されると言われています。
気道に水分が貯留するのは「肺炎」「心不全による肺水腫」などの状態です!
つまり炎症やうっ血によって気道内に水分が漏出するという状態と理解することができます。
臨床的には肺炎や心不全の患者さんが、SpO2の低下や呼吸回数の増加とともに水泡音の増強が見られた場合は病態が悪化しているという兆候として考えるべきです。
個人的に使用している聴診器です!とてもよく聴こえるのでモチベーションアップにおすすめです!
捻髪音はどんな時に聴取される?
捻髪音は間質性肺炎やARDSの晩期(繊維化期)に聴取されます。
一般病棟の場合は間質性肺炎の患者さんで聴取されるのが一般的です。
捻髪音は「吸気の終わり=吸気終末」で聴取されます。
これには音の発生する原因が関係しています。
捻髪音は硬くなった肺胞が正常な肺が膨らんだ後に遅れて肺胞が開いた時に発生します!
硬くなった肺胞は開きづらいため、吸気の終わりに開いていきます。
その開いた時の音が聴診した際に「パリパリ」と細かい音として聴取されます。
おわりに
呼吸音の聴診は看護師が最も行うフィジカルイグザミネーションの手技だと思います。
音の分類の仕方となぜ聴取されるのか?ということと患者さんのバイタルサインや病態と合わせて考えることでアセスメントの幅が大きく広がるのは間違えないと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!
大変なことも多いですが程々に頑張りましょう!
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