この記事はこのような人にオススメ!
- 意識レベルの評価方法を知りたい人
- 急変対応に強くなりたい人
クリティカルケア認定看護師の私が解説します!
みなさまこんにちは!
今日解説するのはズバリ「意識レベルの評価方法」です。
意識レベルってスケールはあるけど具体的な使い方が良くわからない、、。
病棟でもICUでも、そして看護学生でも一度は先輩から愛のツッコミを受けた経験があるひとは多いのではないでしょうか?
GCSの合計点を間違えて怒られたな、、笑
ということで本日は意識レベルの評価方法にについて3つのポイントに分けて解説いたします!
- 意識レベルのスケールについて(JCS・GCS)
- 見当識の注意点と私の経験から言える間違えやすいポイント
- 事例でスケールを活用する!
意識レベルのスケールについて(JCS・GCS)
意識レベルとGoogleで検索するとまず上位に出てくるのはスケールです。
なぜ意識を評価するのにスケールが必要なのでしょう?
答えはシンプルでスケールを使うと「誰が評価しても同じに評価できる」「客観的に評価できる」というメリットがあります。
例えばこんな臨床での場面で考えましょう。
肺炎で入院したAさん(78歳男性)。夜間の体温が上昇し、いつもよりSpO2の値が不安定だったと夜勤さんから申し送りを受けた。自分に受け持ちが変わり、部屋に訪室すると明らかにぐったりしているAさんを発見した!
とある日勤での場面
このような場面はよく見かけます。(勤務交代時に具合悪いあるある)
この場面で焦った3年目のNSは医師にこんな報告をしました。
〇〇先生、肺炎で入院中のAさんなんですが血圧とSpO2が低下していて、いつもよりぼーっとしている印象を受けます。
バイタルとともに意識の状態も報告しているのはgoodですが、主観的な意識の評価方法のため具体的に意識の状態がどのような状態かが把握できません。
このような時に活用するのがスケールです!
日本の臨床で主に活用されている意識のスケールは2つです。
- JCS(Japan Coma Scale)
- GCS(Glasgow Coma Scale)
JCS(Japan Coma Scale)
JCSは日本で開発されたスケールで開眼にフォーカスし意識を評価します。
頭悪いから暗記できまへーん!!泣
スケールを見ると文字ばっかりで暗記できない、、とお思いの方は以下の方法で「使い方」を知りましょう!
Step1:まずは開眼の状態で評価しよう!
まずは患者さんを目の前にしたら開眼の状態を観察しましょう。
JCSは大項目と小項目に分かれています。
まずは大項目を評価しますが、簡単に考えると以下のようになります。
- 何もしなくても開眼していれば大項目の1(ローマ数字)
- 開眼はしていないが、何か刺激を加えると開眼すれば大項目のⅡ(ローマ数字)
- 刺激を加えても開眼しない状態であれば大項目のⅢ(ローマ数字)
これなら覚えられるかも笑
JCSの場合は数字が大きくなればなるほど意識が悪いということになります!
Step2:小項目を評価しよう!
次に小項目を評価します。
大項目の1は開眼しているので会話で「認識の状態」を評価します。
1:今ひとつはっきりしない
2:見当識障害がある
3:自分の名前、生年月日が言えない
3はそのままだから分かるけど1と2がわかりづらい、、
1については覚醒しているけどいつもより(ベースライン)意識がはっきりしない状態を示します。
見当識障害の謎?!
見当識を評価するためにはどんな質問を投げかけますか?
実は見当識というのは「3部構成」になっています。
- 時(月だけでよい)
- 人(他者認識)
- 場所
つまりこの3つのうち1つでも正当出来なければ「見当識障害あり」と評価することになります。
ちなみにここでいう「人」は他者認識になります。
なので「私(看護師)は何をしているかわかりますか?」「この方(家族)は誰ですか?」
など患者さん以外の人物が認識できているかを質問します。
小項目の2と3はとてもシンプル
小項目の2と3は項目のように刺激を加える必要があります。
大項目のⅢについては「痛み刺激」を加えても開眼はしないため、体の動きで小項目を評価します。
ちなみに会話はかろうじてできるものの、話しているそばからすぐに目を閉じてしまう状態はⅡ-10評価します。(臨床では結構あるある)
”瞳孔のペンライトの豆知識”
瞳孔を評価するためのペンライトですがどんな物を使ってますか?
最近はLEDのものが多くなってきましたが実は白色の光は瞳孔にとって優しくありません!!
伝統的な電球色(オレンジっぽい色)が優しいです!
そして久しぶりに使うと電池切れ、、なんてことも。
私も臨床で使っているペンライトは電球色かつUSBで充電もできる優れものです^^
その名も壊れにくいペンライト笑
そんな高くないのでぜひ使ってみてください♪
GCSはMを覚えるのが大事!
GCSは「開眼・言語・運動」の3つの項目に分けて意識を総合的に評価し合計点を算出します。
それぞれ最高点は開眼が4点・言語が5点・運動が6点なので意識清明は合計して15点となります。
合計点が8点以下を重症と捉えます!(神経学的予後が不良)
開眼は簡単なので省略して「言語」を見ていきましょう!
見当識は皆さんお分かりですね^^
GCSの言語では「文章を話していれば4」「単語のみであれば3」「発語だけであれば2」と評価します。
ちなみに気管切開や気管挿管中は「T:Tube」と評価しますが0点ではなく1点と評価します。
運動についてはこちらの記事がわかりやすいので参照してみてください。
事例で考える意識レベル
肺炎で入院したAさん(78歳男性)。夜間の体温が上昇し、いつもよりSpO2の値が不安定だったと夜勤さんから申し送りを受けた。自分に受け持ちが変わり、部屋に訪室すると明らかにぐったりしているAさんを発見した!
とある日勤での場面
さて、この事例で考えていきましょう!
今回はJCSで評価します。
まずは開眼を評価します!
息も荒く目を閉じているので大項目はⅡかⅢになるのかな、、?
正解!では小項目を評価するために呼びかけてみましょう!
Aさーん!わかりますかー?!・・・・・・あっ目をかろうじて目を開けてくれました!ってことはⅡ-10で良いの??
正解!元々は意識が清明だったので明らかに意識レベルが低下していますので医師への報告が必要ですね^^
意識障害と聞いてどんな疾患を思い浮かべますか?
脳梗塞や脳出血など中枢性の疾患を思い浮かべた方が多いのではないでしょうか。
実は意識障害の原因はかなり多く、入院中の患者で注意すべきなのは「感染症」です。
感染症は敗血症という臓器障害を引き起こす重篤な病態を引き起こします。
ちなみにICUに入室するショックの分類は敗血症という論文もあるくらいです。
感染症(尿路感染、肺炎など)があるか疑われる状態で、、
・呼吸が早い ・意識がはっきりしない ・血圧が低い(収縮期血圧が90mmHg以下)
の2つが該当すれば敗血症の可能性があります!(quick-SOFA)
終わりに
さていかがだったでしょうか?
意識レベルはスケールを用いることの重要性が分かったと思います。
バイタルサインもそうですが意識レベルは日々あるいは時間的な「変化」に気がつくことが大事です。
大変なことも多いですが程々に頑張りましょう!!